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「あのねェ?貴方、成長早すぎるのよォ…もう飛べるようになったのォ?あーあ。もう少しだけ遊んでいたかったなァ…でもこれは全部君のせい。分かってるゥ…?でも、もう後戻りできないんだよなァ………。――御手洗姉さん悲しッ」

そう、言った。

僕のせい?遊んでいたかった?後戻り?意味わかんない。

でも、ただただその目は怖かった。

今までになく。


御手洗 故景。
これが黒幕、と考えた方がいいのかな?

何の黒幕?


何かの黒幕。
ばれてるんだし、目開けてもいいのかな?
すこし、戸惑った。

「あら?別に目開けても良いわよ?フフフっ」

開けない方が良い…本能的にそんな感じがした。でも、薄目でちらちら様子をうかがった。


「ふウん?開けないんだ…あ?薄目かーァ、じゃ、力尽くで…」

パチン
と指を鳴らした。そこから寝ていたと思われた良勝さんたちが起き上がってきた。

しかし、その姿はやたらとゆらゆらしていて筋肉を使いこなせてないようだった。
だが、その使われてない筋肉を操るのではなく、必要な筋肉を操るパワーのためだとすぐわかった。

『痛ッ………!!』

良勝さん、清作さんは、ありったけの力を腕に込めて――否。込めさせられて、僕を掴んだ。

こういうところが力づくか…
だけど、僕はごめんなさい、と謝りながら良勝さん、清作さんの力の入ってない部分に一発パンチを入れる。

「「?…く、ッ!」」
と言いながら、彼らは膝から崩れ落ちた。

「チッ」
御手洗さんが舌打ちをする。しかし、その額には薄っすら汗がにじんでいる。体力的にも二人が限界なんだろう。
よし!!このうちに翼はやして、雲羽と美文さん連れて逃げよう!!
僕は偶然近くに眠っていた美文さんをおぶって、雲羽に手を伸ばす。

しかし、御手洗さんは不敵に笑った。
何故だ?

『ア゛、ッ…?』

すぐに気が付いた。美文さんは、眠っていたのではなく、うずくまって、氷の包丁を作っていたのだ。そして、包丁を僕の腹に突き刺した。
だけど、あまり血が出なかった。
才能のおかげ?まだ分からない。

つまり、彼女の限界は、三人?いや、それ以上だな。だって、あと一人、雲羽が残っている。こいつは敵にしたら結構厄介だなぁ〜

ッ、でも取りあえず、背負ってみる。
彼女は、非戦闘向けな才能だからだ。

包丁や銃を自由生成できるとは思わないし。


そして、彼女は目覚めた。

操り主の危険を察知して……。






だが、行動をとる前に彼女は口元を動かし始めた。

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作者名:白井ユエ | 作成日時:2021年5月24日 18時

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