#１７ ページ17
そのあと部屋に戻った私はぼーっとしていた。
トントンさんも、少し暇しているようだった。
「どうしてトントンさんの部屋だったんですかね。恐怖に怯えて寝る羽目になってるんですが。」
「それはこっちのセリフや。あのときの罪悪感に苛まれながら寝るこっちの気持ちにもなってくれや。」
えぇ…。
顔が苛まれてないじゃないですかやだ。
「他じゃダメだったんですか？シッマはもう顔も見たくないからいいとして、ほら、大先生とか。
彼優しそう。」
そう言うと、トントンさんは少し怒りっぽく顔を顰めた。
「あいつはダメや。女子をすぐ襲う。自制心のかけらもないクズや。」
おうおう、ひどい言われようですね大先生、大丈夫ですか。
「うーんとじゃあ…エーミールさんとか？大人しそう。」
「それは第１印象やろ。あいつは…童貞やから。ほら、同じ部屋にいさせたら可哀想やろ？あいつが。」
それはなんというかこじつけというか…。
他には誰がいたかな…と手帳をめくっていく。
「ロボロさんとかは。」
「ダメやな。あいつああ見えてサイコパスやねん。」
なんでやねん！！
と、エセでもツッコみたくなった。
そこから全員の名前を出し、全員を拒否された。
いや、悪口がよくこんなにすらすらと出てきますね圧巻ですよほんと。
「じゃあトントンさんしかいないじゃないですか。」
「せやな！」
なんでちょっと嬉しそうなんだよしばくぞ。
自分でさっき『罪悪感に苛まれる』とかなんとか抜かしてたくせになにを言ってやがるんですか。
よし。
「ちょっと行ってきます。」
「…どこへ。」
言い終わらないうちに低い声で問われた。
あのときの面影があってとても怖い。
「そんな束縛彼氏みたいなセリフ吐かないでくださいよ。」
「いやまあ、前の日記みたいに色々勝手に見られたら困るんや。」
なるほど。
「なら、その心配はいりません。」
それだけ伝えて勝手に部屋を出た。
望むはそう。
ここからの脱出だ。
楽するのも生き方として間違いではないかもしれないが、私は苦難を乗り越えた先の喜びを味わいたい。
それに、やっぱりスパイ業なんてごめんだ。
トントンさんには本当に悪いけど、仕方ない。
せいぜいバレないように頑張ろ。
【トントン】
「…あいつ意外と鈍感なんやな。」
あの挙動、きっと逃げるために部屋から出たに違いない。
すぐに内線を総統室へかけると、ワンコールで繋がった。
そして言う。
「逃げたで多分。」
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夜飴月／黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…！！ (2019年10月8日 19時) (
レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして！好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます！ (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
月 - 好きすぎる！ (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
有 - 夜飴月／黄泉月さん» はい！楽しみに待ってます！ (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜飴月／黄泉月 | 作成日時：2019年1月18日 20時
