第7話 ページ7
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どうすると思考を必死にかけ巡らせる。何を言っても言い訳にしか聞こえないであろうこの状況で、逆に何を言えばいいのかAには分からなかった。
「……！」
狐がこちらへ近づいてくる。
身をすくめるAの前で、狐は最初に出会った時のように前足を揃えてペコリと頭を下げた。
「大変失礼しました」
「……へ？」
困惑するAに、狐は言葉を続ける。
「元はと言えば慢心故に確認を怠ったのは私なのに、問い詰める権利はありませんでした」
「慢心って……」
「……私は長年代々木様のパートナーでしたから、お恥ずかしながら間違えるはずはないと思い込んでいたのです」
Aははっとした。先程、代々木が戻ってきたのは一年振りだと言っていた。長年のパートナーの帰還であれば、急ぎ駆けつけてしまうのは無理も無い。
「確か、橘様とおっしゃっていましたね。ここまで連れ回して申し訳ございません」
Aはきゅっと胸元を握りしめる。人違いであることを分かってもらうことがAの望んだ展開なのに、このモヤモヤはなんだろうか。
淡々としたその声はどこか寂しそうだからだろうか？
その姿がなんだか小さく見えてしまうからだろうか？
「た、橘様……？」
気づけば、Aはその小さな体を抱き上げていた。
ここから先を言ってしまえば本当に戻れなくなるかもしれない。今更お人好しを発揮してどうすると自身を叱責する。
けれど、それより大きく上回る気持ちがある。
「俺は代々木さんじゃないし、代々木さんの代わりになろうなんて思わないけどさ。君が言うほんまるっていうのは、早く行かないと手遅れになるんだろ？」
大きく目を見開く狐をデスクに乗せる。そしてAも同じ目線になるように膝を折り、右手を差し出した。
「良かったらさ、代々木さんが戻るまで俺ができることを手伝わせてよ」
「橘様……！」
狐はぱっと表情を明るくさせた。そして潤んだ瞳を前足で拭うと、勢いよくAの胸元に飛び込んだ。
「ありがとうございます！ 代々木様が戻られた際には、この私が責任を持って現世へお返しいたします……！」
「げん……何？」
"げんせ"という意味のわからない単語が飛び出したため思わず聞き返すと、狐はしれっと答えた。
「ああ、ここは西暦二千二百五年なので」
「時空まで超えちゃってたのかぁ」
もう何を聞いても驚かなくなってきた自分に笑いが込み上げながら、Aはよしよしと狐の頭を撫でるのだった。
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ファイ(プロフ) - さく茶さん» さく茶さまー！何故か全て通知が入っていなくて気づくのが遅くなりすみません。読んでいただきありがとうございます…！覚えていてくださる方がいてとても嬉しいです。あんなシーンこんなシーンアップデートして頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします！ (7月22日 16時) (
レス) id: 277853dcfd (このIDを非表示/違反報告)
さく茶(プロフ) - この作品、ストーリーがあまりにも私の癖にぶっ刺さりすぎていて大好きだったのでまた読むことができてとても嬉しいです。お肉付けマシマシどんとこいですので、気長に待っております。応援してます！ (7月2日 19時) (レス) id: a42496714d (このIDを非表示/違反報告)
さく茶(プロフ) - 修正前に読ませていただいておりました。 たまたま新しい作品を漁っていたところ、こちらの強烈な序章を見てもしやと思ったのですが修正されていたとは…！ (7月2日 19時) (レス) @page10 id: a42496714d (このIDを非表示/違反報告)
汐羅(プロフ) - また待ってますね！1人で勝手にニヤニヤウフフしてます笑 (2018年8月27日 22時) (レス) id: caabfee640 (このIDを非表示/違反報告)
ファイ(プロフ) - 汐羅さん» 汐羅…？もしかしてフォロワーの汐羅さん！？3回以上も読み返してくれただなんてありがたやありがたや…(>人<)正直、もう誰も興味ないだろうなって思ってたからほんと嬉しいです！頑張ります！ (2017年12月5日 10時) (レス) id: 9102f485be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ファイ | 作成日時：2016年4月16日 19時
