第3話 ページ3
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「えっ、しゃ、喋っ……！？」
「どうかしましたか？」
まるで人語を喋らない狐のほうがおかしいと言わんばかりの反応である。
Aは数歩後ずさり狐から距離をとる。しかし狐はきょとんとした顔で同じ距離分詰めてきた。
「いっ、いやいやいや来ないでもらえます？」
「本当にどうしたんですか！？」
ああ本当にどうかしてしまったのかもしれないとAは頭を抱えた。夢じゃなくとも、もしかしたら幻視や幻覚の類かもしれないと頬を思いっきりつねる。
「…………いっ、痛い」
「当たり前じゃないですか……」
呆れつつも困惑した様子でAを見上げた狐は、小さく首を傾げた。
「なんだか代々木様らしくないですね。いつもの強気な態度はどうされたんです？」
「いつもの……って、そうだよ、その代々木って！」
はっとして狐に向き直る。視線を合わせるようにしゃがみ込み、Aは自分に向かって指を差した。
「俺、代々木じゃなくて橘なんですけど」
「何をおっしゃいますか！」
「へっ？」
「確かに随分霊力は低下……いや、ほとんどございませんが、それも計り知れぬ数多なお仕事によりお疲れになっているからでしょう！」
「いや、あの」
「代々木様は政府の中でも名のある、あの"ブラック本丸撲滅課"隊長！ 霊力などすぐに回復するはずです」
「な、なんだよそれぇ！」
まるでヒーローに憧れている子供のような瞳でこちらを見る狐に、Aは泣きそうになりながら何度も首を横に振った。今はどこからどう見てもただの廃れニートだ。
「絶対に間違えてる！」
「絶対に間違えておりません！」
その自信はどこから来るんだと目を剥くAを他所に、狐は首を軽く振って首元の鈴をチリンと鳴らした。すると鈴は徐々に光を帯び始め、一筋の光を伴って空中にパソコンのウィンドウのようなものを映し出していく。
唖然とするAの前で、狐は自身の前足を使ってウィンドウをいくつかスライドし、ポンポンと肉球で判を押していった。
「えっ、それ、どうなって……？」
しかし狐は質問に答えなかった。
「この先に該当の本丸がありますが、その格好では威厳がありません。すぐに撲滅課に戻りましょう。スーツの予備があったはずです」
最後にぽんっと判を押すと、Aたちを取り囲むようにして光の円が現れた。そしてAが叫ぶ間もなく、光は一人と一匹を包み込んで姿を消した。
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ファイ(プロフ) - さく茶さん» さく茶さまー！何故か全て通知が入っていなくて気づくのが遅くなりすみません。読んでいただきありがとうございます…！覚えていてくださる方がいてとても嬉しいです。あんなシーンこんなシーンアップデートして頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします！ (7月22日 16時) (
レス) id: 277853dcfd (このIDを非表示/違反報告)
さく茶(プロフ) - この作品、ストーリーがあまりにも私の癖にぶっ刺さりすぎていて大好きだったのでまた読むことができてとても嬉しいです。お肉付けマシマシどんとこいですので、気長に待っております。応援してます！ (7月2日 19時) (レス) id: a42496714d (このIDを非表示/違反報告)
さく茶(プロフ) - 修正前に読ませていただいておりました。 たまたま新しい作品を漁っていたところ、こちらの強烈な序章を見てもしやと思ったのですが修正されていたとは…！ (7月2日 19時) (レス) @page10 id: a42496714d (このIDを非表示/違反報告)
汐羅(プロフ) - また待ってますね！1人で勝手にニヤニヤウフフしてます笑 (2018年8月27日 22時) (レス) id: caabfee640 (このIDを非表示/違反報告)
ファイ(プロフ) - 汐羅さん» 汐羅…？もしかしてフォロワーの汐羅さん！？3回以上も読み返してくれただなんてありがたやありがたや…(>人<)正直、もう誰も興味ないだろうなって思ってたからほんと嬉しいです！頑張ります！ (2017年12月5日 10時) (レス) id: 9102f485be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ファイ | 作成日時：2016年4月16日 19時
