第19話 ページ19
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よろめく身体が背中から支えられたことで、なんとか尻もちをつくのは免れる。Aがぱっと顔を上げると、藍色の髪を揺らした刀剣男士は、三日月の宿す瞳を細めてゆったりと上品に微笑んだ。
「これはこれは、お役人殿」
「三日月、宗近……」
ゴクリと唾を飲み込んだ。身体に一気に緊張が走る。
彼は刀剣男士の中でも、一番何を考えているのか分からないとされている男だった。指南書にも、代々木は「良くも悪くも三日月宗近には注意」と書き添えてあったほどであり、つまりそれは、敵に回すと厄介な相手だということだ。
この男は、いったいどちらか──
「代々木様！」
こんのすけの呼びかけにはっとする。未だ背中を支えられていたことに気付き、Aはすぐさま体勢を整えた。
「……助かった。ありがとう」
隠しきれない警戒心を織り交ぜて礼を言う。どうしようもない、警戒するのはお互い様だと開き直って見上げれば、三日月は特段不快感をあらわにすることなくにこやかに頷いた。
「かまわんさ。ところで、何か入用が？」
「入用というより、転送装置を修理しようと思って。今から探しに行こうかと」
「ふむ、転送装置か……。確か中庭にあったはずだ。案内しよう」
「ありがとう」
思ったよりも友好的な姿勢に、Aは少しだけ胸を撫で下ろした。全員が全員、Aたちを敵視しているわけではないようだ。早い段階で味方を作っていけば、この任務を有利に進めることができるかもしれない。
三日月はそんなAをじっと見下ろしたあと、口元を袖で隠しながら少し身を屈めた。
「代わりと言っては何だが……ひとつ頼みを聞いてはくれぬか？」
えっと思わず声を上げた。まさかこれが狙いなのか、と薄れていた警戒心がまた戻り始める。三日月から半歩距離を取り、訝しそうな目つきで三日月を見れば、彼は困ったように眉尻を下げた。
「そう警戒するほどではない。ただ、役人殿の霊力を分けてほしくてな」
「霊力？ なんで……」
「恥ずかしい話だが、主がなかなか帰ってこないせいか、保有している霊力が少なくなってきているのだ」
刀剣を顕現させるのも、本丸全体の結界を維持するのも、審神者の霊力が必要となる。つまり、審神者の霊力が弱くなってくると刀剣男士は人の形を維持するのが難しくなり、敵にも侵入されやすくなるのだ。
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ファイ(プロフ) - さく茶さん» さく茶さまー！何故か全て通知が入っていなくて気づくのが遅くなりすみません。読んでいただきありがとうございます…！覚えていてくださる方がいてとても嬉しいです。あんなシーンこんなシーンアップデートして頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします！ (7月22日 16時) (
レス) id: 277853dcfd (このIDを非表示/違反報告)
さく茶(プロフ) - この作品、ストーリーがあまりにも私の癖にぶっ刺さりすぎていて大好きだったのでまた読むことができてとても嬉しいです。お肉付けマシマシどんとこいですので、気長に待っております。応援してます！ (7月2日 19時) (レス) id: a42496714d (このIDを非表示/違反報告)
さく茶(プロフ) - 修正前に読ませていただいておりました。 たまたま新しい作品を漁っていたところ、こちらの強烈な序章を見てもしやと思ったのですが修正されていたとは…！ (7月2日 19時) (レス) @page10 id: a42496714d (このIDを非表示/違反報告)
汐羅(プロフ) - また待ってますね！1人で勝手にニヤニヤウフフしてます笑 (2018年8月27日 22時) (レス) id: caabfee640 (このIDを非表示/違反報告)
ファイ(プロフ) - 汐羅さん» 汐羅…？もしかしてフォロワーの汐羅さん！？3回以上も読み返してくれただなんてありがたやありがたや…(>人<)正直、もう誰も興味ないだろうなって思ってたからほんと嬉しいです！頑張ります！ (2017年12月5日 10時) (レス) id: 9102f485be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ファイ | 作成日時：2016年4月16日 19時
