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…
その噂の彼が、今目の前にいる。
まるで夢の様な出来事に、息もできない。目の前に相沢綾斗君がいるなんて。そして、私の首を絞めようと、両手を私の首にかけている。けれど…
「はあ?お前何言ってんの」
彼は呆れ顔で私をただ見ている。
「…あっ、えっと、あの…」
直前に自分が言ったことを思い出して顔が熱くなる。
「(もしかして私、焦って告白しちゃった…!?)」
「お前、僕のこと好きなの?」
「あっ……ち、違うんです…!いや違わないけど…っその…思わず口に出してしまったというか…」
彼はやけに冷静だ。彼が手に持っていた生首は、いつの間にか地面に転がっている。
「お前さ、普通この状況でそんなこと言う?」
「…言わないです、ごめんなさい」
思わず俯くと、彼は深いため息をつき、こちらを見下げた。
「気が動転しておかしなことを言ったの?それとも、僕に殺されると自覚して気を逸らせようとしたの?」
「どっちも違います!今のは、本気で…」
「本気で…何?」
疑いと期待が入り混じったような目をして、彼は私の顔を覗き込む。
「本気で…ずっと好きだったので…思わず…」
「……謝ってよ」
「へ?」
「お前のこと、証拠隠滅に殺さなきゃならないのに、完全に萎えたじゃん。謝ってよね」
…からかわれているのだろうか。と思わされるほど、彼の表情には面白がっている様子が見てとれた。とりあえず、今は大人しく謝っておこう。
「ごめんなさい…」
「よろしい」
彼はにっこり笑って、絞めかけていた手を離し私の頬を引っ張った。
「もっかい謝ってみて?」
「…ごめんなひゃい」
「……」
彼は笑いをこらえている。完全に遊ばれている…と私は少し恥ずかしくなった。
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ポエム(プロフ) - 【お知らせ】登場人物イラスト、世界観イラスト更新しました。 (2019年3月26日 16時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - あうんさん» ありがとうございます!!気に入ってもらえて嬉しいです…!更新頑張りますね!! (2018年11月2日 22時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
あうん(プロフ) - ヤバイ…どストライクすぎます!あんずちゃんの狂った感じがたまらないです!更新応援してます! (2018年10月31日 6時) (レス) id: 8621d19bdc (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます…!!更新頑張ります^^ (2018年10月13日 7時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 読みやすいし面白いです!応援してます! (2018年10月10日 14時) (レス) id: 7f2ddeb6c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ポエム | 作成日時:2017年10月21日 9時