猟奇殺人犯の彼と私

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「じゃあここ」

「勿論いいですよ！」


　私は嬉々として答える。どこでもいいだなんて言ったから、変な店に連れていかれたらどうしようだなんてほんの一瞬だけ考えたけれど、流石の彼もそんなことは無かったみたいだ。
　店のドアを開けると、頭上でベルがチリンと鳴った。相沢君は全く迷う素振りも無く一番奥の席へ向かい、私も何も言わず着いていく。
　運ばれてきた水を口にして、やっと一息つけた気がした。彼はメニューをパラパラと捲っている。

　
　注文を終えて待つ間、私は相沢君に聞きたいことが色々あったことを思い出して尋ねようとしたのだが、あまりに多すぎて質問攻めになってしまいそうなので、とりあえず当たり障り無い話題を選んでしまうのだった。

　
　「あの…お腹ぺこぺこだって言ってたのに、頼むのあれだけでよかったんですか？なんか意外でした」

　「あーうん。僕、少食なんだよね。いつもそんなに量食べないから」


　だからそんなに華奢なのかなと、コーヒーカップを持つ彼の手首を見ながら思う。
女の私と体重もそんなに変わらなさそうに見える程、相沢君は身体が細い。ちょっと羨ましいくらいだ。

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