検索窓
今日:5 hit、昨日:36 hit、合計:7,374 hit

この手が届けば ページ17

白露視点

戦場に響く懐かしき声

大切な人の声が耳をつく

『ア"…ア"ア…コ、ハル…』

黒い感情が少し落ち着く


その瞬間
俺の体が何処からか現れた木の枝に縛られる


薬研「白露の旦那!!」

薬研達の銃兵や弓兵、投石兵が枝を狙い弾を放つ。
助けようとしてくれている、それは分かっていた

だから抵抗も何もしなかった
もし折れても小陽が無事なら、生きてるなら俺に未練なしだ。

目を瞑り地面に叩きつけられるのを待つ

ギュッ

なにか温もりがあるものにに手を握られる
ゆっくり目を開くと雫が片手で枝を握り、片手で俺の手を握っていた
下を見ると地面から結構な距離がある
もう一度雫を見ると顔を歪めながらも俺に笑顔を向けた

雫「やっと手、繋げたね?」

俺と雫の身長差は結構あるはずで片手だけで自分と俺を支えるのは大変なはずだ

『雫手を離せ、俺は折れても構わん』

雫「………」

『雫』

黙ったままの雫を見ながら語りかける。
だが雫は俺を見ていないような、遠くを見ているような目をしていた。

『しず――』

雫「僕に捕まって」

パッ

雫は枝から手を離した手を俺の背中に回した
そして残り少ないであろう霊力を使い薄い膜を張った

ヒューー

風を切りながら地面に向かって落ちていく
だが雫は霊力を使い果たしたのだろう。
気を失ってしまった

(雫を守らないと)

雫の細い身体を自分の体で包み込む

後もう少しで地面だろう

ヒューー…ボがシャンっ

大きな音を立てて地面に落ちる

『ぐっ…!』

幸い骨が数本折れただけで済んだ様だ

薬研「白露の旦那大丈夫か?」

『骨が数本折れた…っ!』

起き上がろうとすると背中に激痛が走る

長谷「三部隊も必要無かったな」

『俺は…元に戻ったのか…?』

薬研「嗚呼、ある審神者さんが手伝ってくれてな」ククッ

『そう言えば小陽の長の声が聞こえた気が…』

三日「やれ白露や、後ろを見てみろ」

『ん?………小陽の長…』

振り返ると結っていたであろう髪が崩れ、目からは涙を流している小陽が居た

『死んだんじゃ…』

陽「白露…よかった、無事でぇ〜」

小陽の手を握ると昔と変わらない霊力が流れてくる

『生きてたんだな…よかった…よかった』

だんだんと自分の声が涙声になってくる
あのときと同じ霊力が俺の中に染み込んでゆく

あぁ、幻覚じゃなくて、君が本当に生きていてくれて良かった…

瞼がどんどん重くなってきて遂には気を失ってしまった。

目覚めて→←祝一周年!



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.0/10 (9 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
49人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:翠扇 | 作成日時:2022年3月30日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。