fond.138 ページ40
.
なにも言わず横に座ってくれた爆豪くん。
なんか言えや。
嘘。
今なに言われても多分頭に入らない。
遠くで聞こえる緊急車両の音がとても大きく感じた。
髪を引っ張られ
三奈ちゃんのまとめてくれたのを雑にほどいた爆豪くん。
「そっちのがいーだろ」
「………そう？…似合わない？」
「そっちのがいいつってんだわ」
「ん。」
よくわかんないけど。
もう今更どっちでもいいけど。
まだ私に大人は早いらしい。
そう思うと背伸びしようとしてた自分が少しバカバカしい。
解かれた頭をぐしゃぐしゃと撫でられた。
「ね、爆豪くんは好きな人に抱いてって言われたら抱く？」
「ンなもん状況によりけりだろ」
「抱かなそ。変なとこ優しいよね」
「あ"あ"？」
怒った爆豪くんをなんとなく見ると
顔はそんなに怒ってなかった。
「……爆豪くん、私のこと抱く？」
「しねえ」
「そ。意地悪」
「テメェだろ」
「ん」
もう何年も私は爆豪くんの優しさに甘えてる。
言えばいいのに言わないから
ずっとただただ甘えてた。
いつかバチが当たると思ってた。
しっかり当たった。
爆豪くんも私も一緒。
忘れたくてその時その時相手を見つけて
結局忘れられなくて
腐心している。
肝心な相手には何も言えない。
「忘れたい…」
小さく小さく口をついていた想い。
無機質な街にそっと飲み込まれていった。
「……結局あいつかよ」
多分今嘘ついたら
一生後悔しそうだなって思った。
「……ん。」
「そーかよ。」
爆豪くんはそれ以上何も言わなかった。
「ん……、爆豪くんは、忘れられそ？」
「そのうちな」
「そっか。早く忘れられると良いね」
「テメェが言うかよ」
ハッ、と自嘲気味に笑った爆豪くん。
「そんな良い女じゃないよそいつ。クソだよ。知ってるでしょ？」
「ああ」
「さいてー。」
「うぜえ」
こんな直接的に話したことなんてなかったから
きっと爆豪くんは少し前に進めるかな。なんて
私はこんなに甘えていたのに
なにもしてあげられない。
「爆豪くん、なんかして欲しいことある？」
「別にねえ」
「何でもするよ」
別の好意を持てと言われたら
それでもいいかな、と思った。
そのくらい爆豪くんには甘えきったと思う。
……そうすれば私も悩む事はなくなる。
「……小春、」
呼ばれた声に爆豪くんの顔を視界に入れる。
「目ぇ閉じとけや」
爆豪くんの姿を目に映しながら
ゆっくりと目蓋を閉じると
そっと後頭部に爆豪くんの手が触れた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 884人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くま(プロフ) - 游さん» わわっ、すごく嬉しいですー！ブーム起きて頂けたなんてほんと書いて良かったです（ ; ; ）！嬉しすぎてやる気みなぎってしまいました！ありがとうございますー！！ (2021年8月6日 21時) (
レス) id: 429e4ba01a (このIDを非表示/違反報告)
游(プロフ) - めちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃ好きです！！！！！← 更新されるのいつも楽しみにしてます(≧∀≦)こちらの小説読んでから相澤先生ブームです！w 相澤サイドツボです！終始語彙力無くてすいませんw (2021年8月6日 8時) (レス) id: e64c1a181d (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - ぽんずさん» わーぽんちゃんありがとお！！頑張ってみたからそう言ってもらえてすごく嬉しいっ！相澤さんサイド増やしていけるように頑張ります(*`･ω･´)！ (2021年7月20日 22時) (レス) id: 429e4ba01a (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - 成瀬 紬さん» わわわ、長いのにありがとうございます！！嬉しくて目から鼻水が(/ _ ; )すごく元気がもらえました！！ありがとうございます！！！ (2021年7月20日 22時) (レス) id: 429e4ba01a (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 相澤サイド最高すぎて大学でめちゃくちゃにやけるの我慢してる、、 (2021年7月20日 10時) (レス) id: dfde5c5289 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くま | 作成日時：2021年7月18日 21時
