第六話 ページ7
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『宇髄。お前は一体何をしに来たんだ。』
宇「そんなつれねぇこと言うなよ。お前が悩んでそうだったから来てやったんだろうが」
酒瓶を持って人の屋敷に勝手に上がり込むような奴だけには言われたくない。
実際、酒の飲める都合の良い場所を探して来ただけだろう。
全く…あの嫁三人はよくこんな男に愛想を尽かさないものだ。
宇「お前の屋敷は相変わらず派手に雨の匂いがすんなぁ」
『雨の匂い…?』
宇「雨上がりの何とも言えない匂いって言ったら分かるか?そんな匂いがこの屋敷…いや、お前からもする」
『よく分からないな。自覚はない。』
そうだろうなと笑いながら酒を呷る。
雨の匂い、か。
何とも言えない複雑な気分だ。
宇「そういやぁ、煉獄とはどうなんだよ」
『ぶッ!?』
私としたことが、飲んでいたお茶を思わず吹き出してしまった。
カタカタと湯呑みを震わせる私を見て、宇髄はケラケラと笑いだす。
宇「その様子だと、なんかあったみてぇだな?言ってみろよ!酒のつまみにしてやる」
『わ、笑い事ではない!別に何も無い…ただ、今日の任務で__』
今日の出来事を宇髄に話す。
任務で起こったこと、思ったこと、そして煉獄にされたこと…
そんな私の話を宇髄は黙って聞いていてくれた。
しかし、宇髄は私が話し終えた頃には大きなため息をついて項垂れていた。
宇「全く…お前らは派手に拗らせてやがるなぁ…困った奴らだぜ」
『ど、どういうことだ…』
宇髄は、私の問いに笑っただけでそれに対しての答えは返してくれなかった。
宇髄の嫌なところは、こう大事な部分だけ誤魔化してくるところだ。
それくらい自分で考えろとでも言うように。
分からないから聞いているんだ私は
宇「…お、客人だぜ?」
『は?客人?…って…』
杏「邪魔するぞ!」
『な、何しに…』
杏「麻友に会いたくなったから来た!」
『会…っ!?///』
宇「煉獄にしちゃあ、やるじゃねぇか。」
何を感心しているのか知らんが、この状況で煉獄は耐えられん!
帰り何となく気まずくなっていたのに…!
杏「宇髄、お前は何故ここに?」
宇「ん?麻友と酒でも飲もうかと思ってな」
杏「…。嫁が心配する前に帰ったらどうだ!」
宇「…へぇ成程…そうだな、俺はこの辺で帰るとするか」
『う、宇髄!?』
私の声は虚しく、宇髄は華麗に姿を消していた。
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真季 - 最新楽しみにお待ちしてます。長くなってすいません汗 (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
真季 - 初めまして。お疲れ様です。最新も早くて楽しみに読み進めて来ました。夢主よ、どうか自分の気持ち正直になって煉獄さんと恋仲になって下さい…!あの鬼殺の男、怪しい匂いが漂ってますね…。彼女に手を出したその時は是非、煉獄さんの赤き炎刀で…! (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
冴凪(プロフ) - とても面白いです!話のテンポも良くてワクワクしながら読みました!更新ファイトです! (2021年9月30日 22時) (レス) @page12 id: 8d3f590c11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年9月29日 1時