第三十二話 ページ34
*
私の言葉を遮るように煉獄は接吻を落とした。
角度を変えて何度も。
『っれ…んんッ…』
杏「ん…っ…はぁ…ッ…」
『ッは、ッ…はぁッ…何、故今なんだッ…』
涙を流して怒る私に動揺した素振りも見せず、煉獄は口を開いた。
杏「甘露寺には、こんなことはしない。」
『…っ……』
杏「甘露寺と、こんなことをしたいと思ったことは一度も無い。」
そんな顔をして私を見るな…ッ…
そんな、っ…そんな愛しい者を見る目で…っ…
杏「麻友の言う通り…甘露寺が継子だった頃、一生懸命俺の稽古に食らいついてくる甘露寺を愛らしいと思ったことはある。だが、それは弟子の成長を見守る師範としてだ。なんせ、俺はお前のことを出会った時から好いていたのだからな。」
『…ぇ…っ…』
杏「煉獄家に生まれたからには、煉獄の名に恥じない人間にならなくてはいけなかった。あの頃は、色恋などに現を抜かしていられず、沢山悩んだ。そうこうしている間に、お前が誰かに取られてしまうのではないかと、ヒヤヒヤしたものさ。」
『そ、んな素振り…一切見せなかった、じゃないか……っ…』
杏「はは!!気づいていなかったのなら、あの頃の俺は優秀だったという事だな!」
笑い事ではない。
杏「きっと、麻友より前に俺は麻友のことを好きになっている。俺の方が思い続けていた歴としては長いんだ。それなのに、お前は全く気持ちを受け止めてくれない。ここまで焦らされたのは生まれて初めてだ!」
『っ…』
杏「こんなにも思っているのに、まだ俺の気持ちは伝わっていなかったか?」
『…では聞く。お前は私が富岡や宇髄、悲鳴嶼さん伊黒、そして不死川…彼らと私が二人で出かけていたところを見て、どう思った。』
杏「あれは堪えた!!腸が煮えくり返りそうになったな!!」
そんな笑顔で言う言葉ではないが…
『煮えくり返りなりそうなほどでは無いが、私も少なくともとても嫌な気持ちになった。慕っていると言っているくせに、他の異性と二人きりで出かけられては信用もへったくれもない。』
杏「む…それはその通りだ。よもや、俺の行動で麻友を傷つけてしまっていたとは。すまなかったな。」
眉を下げ、私の頬を流れる涙を指で拭う。
『別に、もう良い…』
杏「恋仲になれば全て解決するのだがな!!」
『お前はほんとに……』
こんな感じで私達のいざこざは幕を閉じたのだった。
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真季 - 最新楽しみにお待ちしてます。長くなってすいません汗 (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
真季 - 初めまして。お疲れ様です。最新も早くて楽しみに読み進めて来ました。夢主よ、どうか自分の気持ち正直になって煉獄さんと恋仲になって下さい…!あの鬼殺の男、怪しい匂いが漂ってますね…。彼女に手を出したその時は是非、煉獄さんの赤き炎刀で…! (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
冴凪(プロフ) - とても面白いです!話のテンポも良くてワクワクしながら読みました!更新ファイトです! (2021年9月30日 22時) (レス) @page12 id: 8d3f590c11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年9月29日 1時