第二十話 ページ21
*
『…ッ……しゅ、…う…』
ベッドに横たわる我が弟。
あんなに暖かかったのに、あんなに柔らかかったのに…
今ではこんな…っ…
『志雨……志雨…っ…』
あぁ、冷たい。
もう二度とあの笑顔は見られない。
『守れなくて、悪かった…っ……そして、守ってくれて…ありがとう……っ…』
すっかり冷たくなってしまった志雨の頬に触れる。
目にかかる髪を退かしてやれば、安らかに眠る顔が良く見える。
『穏やかだ……っ…眠っているだけに見える…っ…』
杏「……麻友。」
『煉獄…っ…』
杏「俺がいる。一人にはさせない。」
煉獄に縋る。
もう、私の家族は一人残らずいなくなってしまった。
『煉獄っ……煉、獄っ……うわぁぁぁぁぁッ…!』
泣き叫ぶ。
柱だとか、雨辻だとか忘れさせてくれ。
今だけは、今だけは…家族を失ったことを、悲しませてくれ…
杏「泣ける時に泣けばいい。泣くことは何も恥ずかしいことではない。せめて、俺の前だけは…」
『ッあぁぁぁぁぁッ…!!!』
私を抱きしめて、背中を撫でて…幼子のように縋る私を、なにも言わずに受け入れてくれる。
もう、もう失いたくない。
強く、強くならなければ
誰も失わないように。
全ての人間を守れるように、
雨辻に生まれたことを恥じぬように…っ
***
次の日…私の弟、雨辻志雨は、享年13という若さで天へと昇っていった。
230人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真季 - 最新楽しみにお待ちしてます。長くなってすいません汗 (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
真季 - 初めまして。お疲れ様です。最新も早くて楽しみに読み進めて来ました。夢主よ、どうか自分の気持ち正直になって煉獄さんと恋仲になって下さい…!あの鬼殺の男、怪しい匂いが漂ってますね…。彼女に手を出したその時は是非、煉獄さんの赤き炎刀で…! (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
冴凪(プロフ) - とても面白いです!話のテンポも良くてワクワクしながら読みました!更新ファイトです! (2021年9月30日 22時) (レス) @page12 id: 8d3f590c11 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年9月29日 1時