第11話 ページ11
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Takuto side
「大学に進学したい人は⋯で⋯」
大人はいつもそう
進学やら就職やら自分の意見を
全部子供にぶつけてくる
でもそれは自分のただの理想論であって
そんなのを求めていない子供だっている
それなのに喋る事をやめない担任。
俺は嫌になって辺りを見回した
どいつもこいつも自分は大人の手の上で躍らされている事もしらずに真面目に話を聞いている
だからか分かんないけど
イヤホンをして外を眺めているAが
少し似てるなって親近感を覚えた。
俺は暇だったからイヤホンを片方はずして
自分の片耳にはめた。
「うわっ!」
あまりに音量が大きすぎて
Aを驚かすどころか自分が驚いた。
「何?」
冷めた鋭い目で俺を睨む。
「い、いや、どんな音楽聴いてるのかなーって思ってさ!こんな大きいと耳悪くするよ?」
「雑音が聞こえてくるの」
理由はとても変わっていて
でも嫌とは全然思わなかった。
「雑音?例えば?」
「難しい言葉をたくさん並べた薄っぺらい話とか悪口とか嘘とか。嫌なものほど浮き立って聞こえる」
「へ、へぇ。」
何て言葉をかければいいのかわからなくて
いや、正確に言えば簡単にアドバイス
しちゃダメだと思って
俺は素っ気なく一言で返してしまった
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作者名:いっけー | 作成日時:2016年8月19日 18時