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船が沈むのを見届けてキッドは空を飛ぶ
そしてネオン輝く高層ビルの屋上に降り立った
『ありがとう。助かったわ』
「もう私をタクシー代わりにするのはやめて下さいね?」
『それはどうかしら。私約束したのよ中森警部と。あなたの事を教えるってね』
げぇーと嫌な顔をするのは少しあの名探偵と似ていた
『それに今ここであなたを動けなくしてあげてもいいのよ?』
私は仕込んであったデリンジャーを触った
「…そういう事でしたらまたいつでも協力しますよ」
『話が早くて助かるわ』
「ではまた会う日まで」
そう言ってキッドは飛び立った
私は煙草に火をつけここに来る人物を待った
「A」
『随分遅かったわね』
零は私の隣に並んでビルにもたれかかった
「色々片付けがあったんだよ」
『それはそれはお忙しいことで』
「腕は衰えていないんだな」
『私が外すとでも?』
「…何を怒っているんだ?」
そう。私は怒っている
疑問系で聞いてはいるが、この男は分かっていて聞いているに違いない
『なんでだと思う』
「悪かった」
『ふざけないで』
私は貰ったネックレスを引きちぎった
『こんなGPS入りのものを貰っても嬉しくないわ』
「…」
『私が気づかないと思った?いつまでも私がか弱い女の子だと思わないで!』
信用してほしいと、頼ってほしいと言ったのは彼だ
『私のことを信用してないのはあなたの方よ』
「っ!」
ひどく傷ついた顔をしていた
そんな顔をさせたいわけじゃないのに口が止まらない
『また私を騙すようなことしたら…っ!』
この先何を言おうとしたのか分からない。私の口が私じゃないみたいに動く
だが、言わせまいと零は私に口付けた
時が止まったかと思った
目が開いたままだった私は彼と目が合う
「悪かった。信用してない訳じゃない。だが前の事件のように俺が必ず助けられる保証はない」
俺は弱いから
涙が出そうになった
謝らせたい訳じゃない。彼を傷つけたかった訳じゃない。罪悪感で押しつぶされそうだった
ドンッ
『ごめんなさい…』
私は走った。一人になりたかった
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noa(プロフ) - 鈴蘭さん» 温かいコメントありがとうございます!憧れなんて嬉しいです!語彙力皆無過ぎていつも調べながら書いてますwまた更新するかもしれないのでよろしくお願いします(^^) (2019年3月17日 16時) (レス) id: ce90e029ff (このIDを非表示/違反報告)
noa(プロフ) - 蓮-Ren-さん» 温かいお言葉ありがとうございます!また更新するかもしれないのでよろしくお願いします(^^) (2019年3月17日 15時) (レス) id: ce90e029ff (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても素敵なお話で家族というテーマが本当にお上手に表現されていると感じました。私も夢書きなので、とても憧れています。 (2019年3月16日 18時) (レス) id: 70c518a327 (このIDを非表示/違反報告)
蓮-Ren-(プロフ) - 完結おめでとうございます。陰ながら読んでいたのですが、とても心に刺さるお話でした。とても面白かったです。 (2019年3月16日 18時) (レス) id: d8f19c7143 (このIDを非表示/違反報告)
noa(プロフ) - 明里香さん» たびたび申し訳ありません。こちらの確認ミスです。指摘ありがとうございました! (2019年3月10日 15時) (レス) id: ce90e029ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:noa | 作成日時:2019年3月1日 21時