THE FIRST SLAM DUNK 宮城編�� ページ47
海の青く透明な波が音を立てて押し寄せてきては沖の方へと戻っていく
Aは黙ってその音を聞き、その繰り返される単調な反覆行動を静かに眺めていた。
海は恐ろしくも美しい。その光景を見ながらAは思う。
「A！！」
後ろの方から自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。振り返らなくてもわかる。あの声はリョータだ。
ＩＨが終わり、準決勝した海南は今日神奈川に帰ってきたのだ。ちなみに湘北は山王と死闘を繰り広げたあとの３回戦、愛和学院にボロ負けして早くもこちらに帰ってきていた。
帰ってくるや否やAは真っ先にリョータに会いたいと伝えた。海で、というオプションつきで。
『リョータ遅いよ』
「ごめんごめん…練習帰りだったからよ」
リョータはAの隣に腰を下ろした。そして目の前に広がる海を見る。
風が、Aの髪の毛を優しく揺らした。
『凄かったよ、山王戦…どうだった？』
「…強かったし、怖かった。」
『小学生みたいな感想』
そう言ってAがリョータの方を見て笑い、つられてリョータも笑った。
「俺、Aの応援で勝てたんだよ」
『そうなの？』
「アレ、すっげー目立ってた」
『やめてよ…恥ずかしくなってきたじゃん…』
少し赤くなったAを見て笑っていたリョータはふと何かを思い出して鞄の中を漁った。そして何かを取り出してAの掌の上に置く。
「俺にはもう必要ないから…やるよ、それ。」
『！！』
赤いリストバンド…リョータが試合のときにつけていたものだ。そしてかつてはソータがつけていたもの。
Aはそれを見て驚いたように目を見開く。
「俺はソーちゃんが側にいなくても大丈夫だから。」
『…。』
Aはそれを黙って受け取る…筈だった。Aはリストバンドを手に取り、リョータの掌へと押し戻すように乗せた。
「なんで…？？」
『私には必要ないから。』
ハッキリとそういったAの顔は晴れやかだ。
『ソータが居ない世界でも、ちゃんと前を向いて生きていこうって決めたの。』
「そっか」
リョータはそういってリストバンドを大事に鞄の中へと直して海を見た。それを見ているAもつられて海を見る。
沖縄の海には神様がいて、死者の魂はそこへと帰っていくという。ソータもそこにいるのかな、そうAは思った。
「なぁ、言ってないことがあったんだけど。」
『何？』
「おかえり」
その声を聞いたAは笑顔で返事をした。
『ただいま』
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三國(プロフ) - ぼくらいさん» コメントありがとうございます！！楽しんで貰えてるなら幸いです✨これからも更新頑張りますね💪 (2023年1月10日 6時) (
レス) id: db3bdcc075 (このIDを非表示/違反報告)
ぼくらい - いつも楽しく読ませてもらっています❤️🔥 (2023年1月9日 20時) (レス) id: 9239ef16aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三國 | 作成日時：2022年12月31日 9時
