THE FIRST SLAM DUNK 宮城編�� ページ41
牧はそれから人気のない所にAを連れていきベンチに座らせた。それから自販機で買ってきたココアを渡してくれる。牧はAの隣に座ると「…落ち着いたらでいいぞ」と優しく言ってくれた。
涙が止まり呼吸も落ち着いたのか、Aはゆっくりと、詰まりながらも経緯を話していく。
引っ越してきた前の、ソータやリョータとの話。バスケを避けていた理由。ソータが好きだったこと、死んでしまってそれをどうにか忘れようと藻掻いていたこと。そして、さっきリョータと喧嘩をしたことも。
伝えれる限りのことを牧に話したつもりだ。
言い尽くしたAは一息ついて温いココアを飲んだ。仄かな暖かさが悲しかった気持ちも癒やしてくれた。
『…忘れないといけないってことはわかってる。だけど、どうしても忘れられないんだよ。』
Aが独り言のように呟いたとき、今まで黙って聞いてる側だった牧が口を開いた。
「忘れるっていうのは、暁の中でいうなかったことにするということか？」
その言葉に、Aは思わず黙り込んだ。牧は続けてこういった。
「辛い過去を持つ人ほど、それをどうにかして忘れようとする傾向があるらしいな。俺は忘れる必要なんかないと思う。それはただ逃げているだけだ。」
『…。』
「実際、暁もそうだろう？
…無理矢理忘れようとしているのに、逆にそのことで苦しんでいる。別に無理して忘れようとしなくてもいいんだ。忘れたら…その人のことを思い出すこともなくなってしまうのだから。」
過去と向き合い、それを受け入れることでその執着から解かれることができるらしいとAは牧から聞く。
牧の言葉の一つ一つがすんなりと自分の胸の中に入ってきた。
牧の言うとおりだ。過去を振り切るために必死に忘れようとしていたことが、自分をここまで追い詰めていたのかとAは思った。
「生きる支えなんかない…って、暁は言ってたけどそれは違うと思うぞ？少なくとも…お前には昔から側にいてくれた人がいるだろ。」
その言葉にAはハッとした顔を見せた。
脳内でリョータの姿がチラつく。
俺はリョータだ！！！と、叫んだリョータの顔が忘れられない。私は、リョータにあんなことをさせてしまったのか。
やっぱり私はどうしようにもなく最低な奴だ。でも、今度は逃げたりなんかしない。
『…私、リョータと話がしたい。』
自分の気持ちにケジメをつけよう。今度こそ、過去から先へ進むチャンスだ。
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三國(プロフ) - ぼくらいさん» コメントありがとうございます！！楽しんで貰えてるなら幸いです✨これからも更新頑張りますね💪 (2023年1月10日 6時) (
レス) id: db3bdcc075 (このIDを非表示/違反報告)
ぼくらい - いつも楽しく読ませてもらっています❤️🔥 (2023年1月9日 20時) (レス) id: 9239ef16aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三國 | 作成日時：2022年12月31日 9時
