流川楓と彼女�� ページ30
その険悪な空気などお構いなしに開けられるドアの音に、Aは拍子抜けそうになるが相手の目から視線を逸らさない。
「…うわ、先客…」
聞き覚えのある…いや、聞きたかった声がしたためAは思わず声がした方へ目を向けた。そこには明らかに面倒くさそうな顔をして立っている流川楓本人の姿が。
『…る、流川くん…』
思わず口が動いてしまった。流川はその声を聞いてAの方へと目を向ける。そして女子達の方をチラッと見て何かを察したのだろうか、こちらへ向かって歩いてきた。
「え、流川くん？」
「うるせぇ」
一蹴、いや、瞬殺だった。流川は話しかける間も与えようとしない早さで女子の言葉を遮って黙らせた。
Aから見えた流川の横顔は、少し怒っているように見える。初めて見る表情だった。
流川はいきなりAに近づいたかと思うとそのまま後ろに回ってAを抱きしめてきた。
『わっ、流川くん！？』
「コイツは…Aは、俺の彼女だから…手を出そうとするんなら誰であろうと許さん」
恐らく、あの鋭い目つきで女子達を睨んだのだろうか。半泣きになりながら女子達は去っていく。流川はその姿を見てかんぜんに教室からは出ていったことを確認するとはぁ、と溜め息をついた。
そして、改めてAの方へと目を向ける。
「…好きだ。」
流川は静かな声で確かにそう言った。
窓から入る夕日の、オレンジ色の光が流川を照らし、風がカーテンを揺らす。その光景は絵画のような美しさだった。
『…流川くんは、私が断っても彼女にするつもりだったの？』
Aがさっきの流川の言葉を思いだしながら笑って返事をする。
「本当は、もっとちゃんというつもりだった。」
邪魔された、と流川は少しムスッとして言ってきた。その後に「まぁ」と言葉を付け加えられる。
「少なくともAを逃がすつもりなんかねぇよ」
『…そう』とAは短く返事をした。パスすらださないときもある独善的な流川らしいやと思った。
Aはふふっと笑って勢いよく流川を抱きしめる。
『私も好き。流川くんの事が大好きです。』
流川の顔を見つめながら伝えると流川はふっと微笑み、Aの頬を優しく撫でた。
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三國(プロフ) - ぼくらいさん» コメントありがとうございます！！楽しんで貰えてるなら幸いです✨これからも更新頑張りますね💪 (2023年1月10日 6時) (
レス) id: db3bdcc075 (このIDを非表示/違反報告)
ぼくらい - いつも楽しく読ませてもらっています❤️🔥 (2023年1月9日 20時) (レス) id: 9239ef16aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三國 | 作成日時：2022年12月31日 9時
