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#8.子どもの夢 ページ9

数ヶ月後───この仕事に慣れてから、子ども達や親御さん達と接する機会も増えた気がした


子どもは兎も角、親御さんには裏道さんのサポートは効かない。

それがどういうことなのか…?






子)あっ!裏道お兄さんとAお姉さんだ!



第1部の撮影が終えたばかりのこの時間は、子どもの迎えに来る親御さんが集中する時間

裏道さんは、ニコッと口先を上げたまま振り返った



裏道)ユキちゃんだね!お母さんはどうしたのかな?



子)ママならね、今御手洗にいってるよ!



「そっか。ならお母さんもそろそろ戻ってくるかな、」



すると御手洗から、急ぎ足で駆け寄ってきた若い女性がユキちゃんの元へ着いた



『もしかして、裏道お兄さんとAお姉さんですか?体操の!実はユキが、お2人の事が好きだといつも聞いてばかりなもので』



裏道)素直に言ってくれる子。お兄さんも好きだな〜


「お姉さんも、そう言ってくれて嬉しいな!」



子)じゃあまた、お兄さんとお姉さん達とABC体操を楽しみにしてるね!



本当に子どもって素直だな…
子どもから好きって言ってもらって、裏道さん。今回は嘘なしに喜んでる




『あの、…Aお姉さんって、前にスケート選手だった方ですよね?』



「…え?」


裏道)っ…



『実はユキも今、バレエに通ってまして。この先、どうするか迷ってるんだよね?』



子)コクッ



真逆のパターン

テレビでは出演者の過去話なんて教育テレビでは行わないから聞かないだけで、裏では聞いてくる親御さん

仕方ない。仕方ないよ?けど、…
大人まで素直だと、裏道さんもほら。…何も言い出せない




「……あ、はは。確かにお姉さんもバレエを習ってたっけ。私は決められていたので、ユキちゃんみたいに悩んだり、一緒に考えてくれる人がいなかったから、アドバイスとかできないけど……でもね、」



立ち上がっていた足を曲げて、ユキちゃんの目線に顔を合わせた



「悩んでいる間にもっと上達して、今後の人生に生かせると思うから。そんな焦らなくても、ユキちゃんの夢はきっと見つかるとお姉さんは信じてるよ」



裏道)A。




触れ合う数が増えたから嫌とかじゃない

触れ合う数が増えて子どもの夢を聞く度に、大人の夢がこんなにも重いんだと感じたのだと思う

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作者名:ひな林 | 作成日時:2021年6月5日 8時

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