もしもの話。【短編集】

推しだけが愛してくれたら。【ワンピース 赤髪海賊団】____リア友リクエスト 苦手な友人とトリップした子の話。 ページ9

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夢主もヒロインも原作知識あり。



トリップしたそこは、白ひげ海賊団の船であるモビー・ディック号だった。
もちろん、最初は私達も戸惑ったし、いきなり現れた私達に、船員達はスパイか何かか、と武器を向けた。事情を大まかに説明した後も疑われ、監視も付いた。

でも、彼女____愛華は、そんな船員達でさえ自分の味方にし、そして虜にした。可愛い上に愛嬌もある。ナース達にない初心な反応も、彼等にとっては堪らなかったのだろう。
まあ、彼女のお陰で私への疑いもなくなり、今は雑用を任されているのだが、愛華との扱いの差が、毎日私の胸を締め付けた。


例えば、雑用をしているとき。
愛華はいつも困っていることに気づいてもらえ、中には「代わるよ」なんて言う人もいる。

食事をするときだって、彼女はいつも船員達やナース達に囲まれている。一人で隅に座る私を愛華は「Aちゃんもおいでよ！」と誘ってくれるのだが、私は誘われるたびに自分が惨めに思えた。


トリップする前だって、そうだった。
いつもあの子の周りには沢山の友人がいて、一番仲のいい子だと思っていた友達も、あの子ととても仲が良かった。
その上愛嬌もあって、誰にでも優しくて、「友達を奪(と)らないで」と思ってしまった自分が恥ずかしくて、情けなくて仕方なかった。

だって私はあの子と違って人見知りで、気軽に話せる友達だって限られているのに。その限られた友達と私より仲良くしている姿は、正直とても辛かった。
だから、私は彼女が苦手だったのに、何故よりによって一緒にトリップしてしまったのか。

唯一の救いは、推しである赤髪海賊団の船、レッド・フォース号の船にトリップしなかったことだった。
シャンクスさん達だって、愛華を好きになるに決まってる。そしてきっと、夢小説のような逆ハーが、目の前で展開されていくのだ。
想像するだけで、棘が刺さったような苦しみが私を襲った。だから、シャンクスさん達が現れない日々に安心していたのに。


神様はどこまでも、私に非情だった。



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始まりの展開としてはこんな感じ。
まだ赤髪海賊団は名前しか出てこない…。


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