39話 飴と鞭 ページ42
・
「な、何を、するんだっ、ぐ、離せ、っ」
掴まれてるのは腕であって首でもなんでもないのに、彼は苦しそうに言葉を紡いでいる。そんなに辛い?
貴方が鼻で笑った"キサツタイ"の隊士はみんな今の貴方なんか比にならないくらいの壮絶な痛みを抱えて鬼と戦っているけれど。貴方達を、一般人を守るために。
「晴っ!!あぁ、隊士さん、止めてください!」
月英さんは私の羽織の袖を掴んで懇願する。
可哀想、弱くて何の力もないから、息子を助けてくださいと誰かに願うことしか出来ない。
_______昔の私とは真逆だ。
私もこんな風に助けを求められていれば、何か違っていたのだろうか。
『月英さん』
できるだけ、優しく静かに名前を呼んだ。
月英さんは顔を綻ばせる、私が息子を助けてくれるのだと思っているのだろう。
『(最善は……ああ、面倒だな、もう)』
霞柱様の思惑通りとなってしまうのは少し癪だが、これ以上押し問答を続けても意味が無い。
ゆっくりと、月英さんの元に歩み寄った。
『情報を直ちに開示しなさい。
さもなければ貴方の息子の腕…折れるまでとはいかなくともどうなるのかお分かりですよね?』
瞬きをひとつ、目を細めて、眼光は鋭く。
視線は目の前に佇む怯えきった女性へ
「なっ、脅すつもりなの?貴方達、鬼殺隊なのよね?こんなことしてタダで済むと_________」
『この街付近に鬼が出るかも知れません。貴方の息子の腕をもぎ取れる程の実力を持った彼でも勝てるかどうか危うい相手です。』
丹前と息を吐いた。優しくものを言っているうちに情報を差し出せばこうはならなかったのに……とても残念だ。
『一刻も早く情報を集めたい。必要以上に特定の人に時間を割く必要はありません。
鬼なんていないと否定するならば喰われてしまえばいい。否定しても存在するものは存在し続けます。
それと____その鬼は、女性を特に狙うようですが』
ちらりと、ふくよかに実った身体に視線を向けて、すぐに戻した。
180度変わった私の態度や口調になのか、自分が鬼に狙われるかもしれない恐怖からなのか、月英さんは震えていた。
『(よし、ここで______)』
"「いいかい、A。相手が君のことをよく知らずに馬鹿にしてきたり、中々こちらのお願いを聞いてくれないようだったら、初めに少しビックリさせてあげるんだよ。その後に……」"
数年前、産屋敷殿とした会話を思い出す。
要するに飴と鞭を使いこなせということだ。
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
305人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほしいも(*^^*)(プロフ) - 設定めっちゃ自分の好みでした!(笑)更新少しずつでいいので頑張ってください〜!😁 (12月13日 16時) (レス) @page40 id: 88768a4726 (このIDを非表示/違反報告)
向汰(プロフ) - 空桜さん» そう言っていただけて嬉しいです!それに、私以外にも頑張っている方がいらっしゃるのだと思うと少し肩の力が抜ける気がします(´˘`*) 試験頑張ってください。応援しています (2019年9月23日 1時) (レス) id: 1112aaa288 (このIDを非表示/違反報告)
空桜(プロフ) - 待ってますね!私も就職試験あります。お互い頑張りましょう! (2019年9月23日 1時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
向汰(プロフ) - 何卒さん» ありがとうございます〜〜!気長にお待ちください(´˘`*) (2019年9月22日 21時) (レス) id: 1112aaa288 (このIDを非表示/違反報告)
何卒 - めっちゃ気になるところで終わってしまってウズウズしてます。笑 続き楽しみにしています! (2019年9月21日 1時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:向汰 | 作成日時:2019年8月25日 1時