雪は白いが君は死ね【時透無一郎】

32話 気まずい ページ34

･


『…………』

「…………」


……現在。先程まで非常に気まずい雰囲気だった私たちの部屋に、家主さんがわざわざ部屋まで朝ご飯を運んできてくれたので 2人で黙々とそれを食しているのだけれど、味がしなくて困っている。


もちろん昨日の家主さんの言動も気になってはいた。私の過去について何かを知っている様な口ぶりだったし…いやでも、今は任務中だし、私のことはひとまず置いておくとして



『(柱に痴態を晒してしまった……後でちゃんと謝罪しなければ……あれ、でもなぜ霞柱様はわざわざ私の背後に移動したんだろうか……)』



食べる手を止めて、ちらりと霞柱様に視線を送った
あまり食に頓着はないように見えるけど、やっぱり年相応にお腹は空くのか箸の進みが若干早いように見える。


『(……なんというか、近頃は彼のことばかり考えている気がするな…)』


掴みどころがなくて不思議な雰囲気を感じるから、というのもそうだけど、彼からはどことなく懐かしいような気配を感じるというか……ううん、何だろう。わからない、起き抜けでぼんやりしているのと空腹のせいでいつものように思考が働かない。


『(だけど……)』


朝の食事の品目はふろふき大根とアジの干物、それと汁物とご飯だった。うろ覚えもいいところだけど、こういった食事は昔よく食べていた気がする。

盛られた量には吐き気がするが、腹が減ってはなんとやら、ともいうし。出されたものを残すわけにはいかないだろうと思い、心の中では危惧しつつも茶碗いっぱいに盛られた白米に改めて箸を伸ばした。

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