27話 悩め少年 ページ28
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________撫でられたところがまだ熱い。
彼女のあの細くしなやかな指が自分の髪に触れて、ほんの一瞬だとしてもお互いに体温を伝えあっていたのだと実感させられた。
「…………」
先程案内された湯浴み場に向かいながら、もう一度頭に触れてみる。触れられた部分はもうあのひんやりとした熱を携えてはいなくて、少しがっかりした。そんなの当たり前なのに。
「(…………まぁ、いいか。どうでも)」
どうせすぐに忘れる。触れた手の温もりも、僕を慈しむような優しい声も、微かに戸惑う表情も、全部。
…それに、昔の記憶はないけれど、僕は中途半端な人間は嫌いだ。命をかけて戦う覚悟がないのなら鬼殺隊などやめればいい。
せいぜい鬼殺とはかけ離れた別の場所で、旦那でも貰って所帯をつくって天寿を全うすればいいんじゃないのか、あの見目なら簡単だろう。
「(見目か……そういえば、さっきは花街でも色んな人に声をかけられていたな)」
ふと、彼女の容姿を思い返した。
周りにいる隊士は口々に「美しい」というが……
雪のような銀色がかかった白髪。顔は手で掴めてしまいそうなほど小さく、目や睫毛や鼻の高さとか、そういうもの一つ一つのパーツが人形のように整っていたし、白く華奢な手足はきっと滑らかで柔らかいのだろう。声は静けさと落ち着きをもっていて、瑞々しい川を流れる清流のように麗らかな心地よい声だった。
確かに…記憶をなくして修行を初めてから、あそこまで顔の整った人間とは出会ったことがなかったかもしれない。
「(あと……目、目がキラキラしてた
なんて言うんだっけ、あの色)」
青……とは違う感じの、もっと透明感があって……それで、……待てよ、あれ
「僕…………なんでこんなこと考えてるんだろう……」
わからない。さっきのどこか懐かしいような手つきと優しい感触が消えないせいかな。
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ほしいも(*^^*)(プロフ) - 設定めっちゃ自分の好みでした!(笑)更新少しずつでいいので頑張ってください〜!😁 (12月13日 16時) (レス) @page40 id: 88768a4726 (このIDを非表示/違反報告)
向汰(プロフ) - 空桜さん» そう言っていただけて嬉しいです!それに、私以外にも頑張っている方がいらっしゃるのだと思うと少し肩の力が抜ける気がします(´˘`*) 試験頑張ってください。応援しています (2019年9月23日 1時) (レス) id: 1112aaa288 (このIDを非表示/違反報告)
空桜(プロフ) - 待ってますね!私も就職試験あります。お互い頑張りましょう! (2019年9月23日 1時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
向汰(プロフ) - 何卒さん» ありがとうございます〜〜!気長にお待ちください(´˘`*) (2019年9月22日 21時) (レス) id: 1112aaa288 (このIDを非表示/違反報告)
何卒 - めっちゃ気になるところで終わってしまってウズウズしてます。笑 続き楽しみにしています! (2019年9月21日 1時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:向汰 | 作成日時:2019年8月25日 1時