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ちょい裏。

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田中「え、てか、小道具すごくね?これ手錠だべ?」

『……これ高かったでしょ。』

田中「あー……うん、かなり高かった。」

『……え、いくらだったの?』


そう言うと、樹くんは少しだけ悩んだような顔をした後、私の耳に顔を寄せて誰もいないのに小さな声でこの衣装の値段と相場を教えてくれた、けど


『えぇ……!?』

田中「はは……、……やっぱ高いよね?」

『高いって……え、これ相場の四倍以上するって事?』

田中「へへ、いやぁ……せっかくなら良いやつ着てもらいたいなーって思って探してたの。だって着てもらうのに着心地悪いとか嫌じゃね?」

『だからって……えっ、いや、お金かけすぎだって……。』


金銭感覚がどんなに狂っている人でも、一年に一回着るかどうかも危ういのに相場の値段と比べて四倍以上するようなコスプレ衣装は買わない。

いや、たしかに樹くんがいつも付けているアクセサリーはめちゃくちゃ高い事は知っていたけど、まさかこれにまでお金をかけるなんて……。

聞いた値段に唖然としていると、樹くんは手首をつけるような形にして、私の方に差し出して「ねぇねぇ、可愛い刑事さん。」と聞いてきた。


田中「……これって逮捕?コスプレにお金かけすぎ罪?」

『……逮捕案件だね。』

田中「うわー、まじかー。……じゃー、逮捕してくんね?」

『……コスプレにお金かけすぎ罪で現行犯逮、ほっ……?』


樹くんの手首に手錠を付けようとすると、その手錠はすぐに樹くんの手に奪われてしまい、逆に私が手錠をかけられてしま……

ん?ちょっと待って?


『えっ、ちょ、待って?……え、どういう事?』

田中「んー?こういう事。」


そう言って樹くんは手錠をつけられて身動きができない私の腕を自分の首にかけ、「よいしょ」と声を出して私の身体を持ち上げた。

想像もしていなかった事に戸惑っていると、樹くんは私の事をさっきまでいた寝室まで連れていき、ふかふかのベッドに優しく降ろしてキスを落とす。

手が塞がれているので抵抗もできないまま、ちゅ、ちゅ、と何度も落とされ続けているキスを目を閉じて受け止めていると、樹くんの唇が離れた。

そのまま顔を離した樹くんは、ニヤッと笑い、こう言った。


田中「……12時回るまでにお菓子くれなかったから、イタズラするね?」


……どうやら、樹くんには悪魔が取り憑いているみたい。

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作者名:花火2016 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年10月10日 23時

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