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You side
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田中「もうAちゃん冬のドラマのオファー来ても絶対断って。」
『えっ?』
田中「え、もしかしてもうオファーされてる?」
『ううん、未だ今期のドラマ始まったばっかりだし……。』
田中「じゃあ来ても断って。」
『えぇ……?』
田中「えぇ、じゃないよ。Aちゃん、このままだと死ぬよ?」
『栄養も睡眠も取れてるから、酸素がなくならない限りは死なないよ?』
田中「いや、このまま働き続けたらストレス過多とかで死んじゃうからね?もしくは軽くなりすぎて空気中に漂って俺に掃除機で吸われるよ?」
『……前者はともかく、私そんなホコリみたいな死因は嫌だな。』
田中「嫌でしょ?だから休むの。ね?決まり、はい、休むの決定。」
『冬のドラマ断っても、大河ドラマの撮影も映画の撮影もあるけどね?』
田中「ねえええ、なんでそんなに売れっ子なの!!」
『なんでだろうね、私、普通に生きてただけなんだけどね。』
田中「普通のレベルが高すぎるんだよ……。」
今までの会話を思い返すとかなり私の方が会話的には優勢だと思うんだけど、樹くんの言ってる事はご最もだから、正直なんとも言えないのだ。
さっき流れで話してしまったけれど、かなり今の状況でのプレッシャーとか、周りからの期待とかに押しつぶされていたのも事実。
あれ?なんか痩せた?と思っていたけれど、謎の原因で「痩せた」という事実を見たら終わりな気がして体重計に乗っていなかったのも事実。
正直に言ってしまうと、前より眠りが浅くなってるし、食欲も減っている。
間違いなくこの原因はストレスにあるのも分かっている。
こんなに自分の弱い所が次々とバレてしまうと「凄い!なんで分かるの?」という感情よりも、少しずつ身ぐるみを剥がされてる気がして恥ずかしい。
まぁ、そんな樹くんはいまソファーから立ち上がって私の事を潰すような勢いで抱き締めているんだけど、胸筋と言うより角張った骨が痛い。
これだけ聞くと「あれ?樹くん酷くない?離れてあげなよ!」と思われるかもしれないけど、離れてなんて言いたくなくて、言わない私も同罪なのだ。
『まぁ、このまま生きてても死なないとは思うんだけど……。』
田中「……死ぬの。」
『……樹くんの中で私はもうすぐ死ぬ運命なの?』
田中「……俺より先に死ぬとか許さないからね。」
『……死なないのにな。』
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