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それから約一時間後。

「あなた誰?」と言わんばかりの変装をして二人で買い物に行った。

いま話題のポッキを作れるセットは普通に置いてあって、材料も家にあるもので作れるので時間もそんなにかからずに家に帰る事ができた。

それと、ポッキ作りには関係ないちょっと高いアイスクリームも。


『よし、じゃあ作ろっか。』

田中「はいっ。」

『お、いいお返事。』

田中「へへ、先生に返事する幼稚園生みたいだったっしょ?」

『たしかに。じゃあ幼稚園生さん、お手伝いしてくれますか?』

田中「はーい!」

『ふふっ、いいねこれ、もう既に楽しい。』


自分より背の高い樹くんを見上げて話してはいるけれど、感覚的には本当に幼稚園生くらいの小さい子に料理を手伝ってもらっている感覚。

そんな所謂「バカップル」みたいなやり取りに恥ずかしくなりながら、ポッキを作るセットの中にある小さなおたまのような物を出した。


『じゃあまず、ここにお砂糖を大さじ2入れて?』

田中「大さじ2?」

『そう、その表面を平にして……そうそう、上手。』

田中「……はい、二杯入れた!」

『お、おっけー、ありがとう。』


……うん、やっぱり小さい子にお手伝いしてもらっている感覚。

少し褒めただけで本当に嬉しそうな顔をしてくれる樹くんを見て微笑ましさを覚えながら、コンロに火をつけて砂糖の入ったミニおたまを上に乗せる。

正式な作り方ではあるけど、手に熱が直撃するのでかなり熱い。

だけどこれで二人で熱中して見ていたドラマに出てくる物が作れるって考えると楽しみで、手に来る熱さも忘れてしまうような気がした。

徐々にお砂糖は溶けていき、だんだん香ばしい香りがキッチンに漂っていき、それこそ中学生の時にやったカルメ焼き作りを思い出す。


『じゃあここに、重曹を少しだけ入れて?』

田中「少しでいいの?」

『うん、多すぎちゃうと美味しくなくなるんだって。』

田中「へぇ……、ちょっ、と!」

『そのくらいで大丈夫だと思う、ありがとう。』

田中「……なんかAちゃんの手伝いすんの楽しい。」

『ほんと?じゃあこれからも手伝ってくれる?』

田中「うん、手伝う!てかAちゃん料理教えてよ。」

『えー、やだ。』

田中「え、なんで?」

『だって……っ、え、あ、見て見て見て見て、』

田中「えっ?……あっ、すげぇ!色変わってる!!」

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作者名:花火2016 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年10月10日 23時

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