第３６話！ ページ41
このまま出て行ったら、私と猛くんと、智司さんの関係は一体どうなるんだろう。
...そう思うと、私は行ったのはいいけど引き返して智司さんの前に座った。
片桐「...悪い、辛い思いをさせちま」
『智司さんと会った時、最初は怖い人だと思ってたんです。』
智司さんの言葉を遮るように、自分の口が勝手に動いてしまった。
自分でも、なんでこんな話をしているのか、全く見当もつかない。
『私の肩に手置いて、脅すように声を掛けきたんですから。心臓止まるかと思っちゃって。』
なんで、智司さんと会った時の心情なんて話しているのだろうか。
智司さんも困ったような顔をしている。
『だけど、猛くんと繋がるようになってから、智司さんとも関わりが強くなってきて...。』
片桐「...鳴滝。」
『全然怖くなくって、むしろめちゃくちゃ良い人で、それもそれで驚いちゃって...。』
片桐「鳴滝。」
『一緒に話したり、猛くんと3人で馬鹿みたいに笑ってる時間が、物凄く幸せで...。』
片桐「...。」
『こんな幸せな時間が、ずっとずっと続けば良いって、もう、何回思った事か...。』
そう言ってる内に、泣きたくなんてなかったのに、大粒の涙がぼろぼろと溢れてきてしまう。
止めようと思っても、今度は何故か、驚くほど止まらなくなってしまった。
『智司さん、戻ってきてくださいよ...。私このまま終わりなんて、絶対に嫌です...。』
涙を浮かべた目で、智司さんを見る。
智司さんは、そんな私の姿を見て、また辛そうに目を逸らした。
そして、また、ぽつりとこう言った。
片桐「...少し、考えさせてくれ。」
そう言って、智司さんは視線を下に向けた。
...追い詰めてしまったかもしれない。
そう思った私は、『ごめんなさい』と口に出した。
『...なにかあったら、また連絡します。』
そう言って、智司さんに深々と頭を下げ、ハンカチで自分の顔を押さえる。
智司さんは、その言葉に「...あぁ。」と静かに呟いて、その場を後にした。
智司さんに思っていた事を、全部吐き出してしまった。
すごくスッキリしたけど、悲しさが並のようにだんだん押し寄せてくるような気がした。
私も、なんだかその場にいるのが苦痛になってしまい、コーヒーゼリーのお金だけ払って、店を後にした。
感動的なドラマとかでは、ここで智司さんの事を追いかけなきゃいけないんだろうけど。
『...どうなるのかな。』
ぽつりと呟いた言葉は、暗くなり始めた空に、すっと消えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 720人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こもれおLOVE - 猛くん可愛い。キャラ崩壊してもいい。いやむしろキャラ崩壊して。マジやばい。いっそんパウダ(( (2020年8月12日 19時) (
レス) id: 773f58e41c (このIDを非表示/違反報告)
ひーちゃん - アルゴリズム体操ｗ久しぶりに思い出しました！！♪手を横に〜あらアブナイ〜ってやつ！更新頑張ってください！応援してます！ (2019年1月3日 21時) (レス) id: 3f4ccbd374 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 花火2016さん» さとす……でも言い直すの厳しいですね！経験者は語るってことで辞めときます。忠告はちゃんと聞くタイプ←((目の前にいるのにメール送ってきたら馬鹿と見なしましょ。 (2018年12月13日 20時) (レス) id: 656cb74d82 (このIDを非表示/違反報告)
花火2016(プロフ) - ＊ルーラー＊さん» ありがとうございます(T_T)全然迷惑じゃないですよ！こちらこそありがとうございます(T_T) (2018年12月13日 19時) (レス) id: cdf4b9c055 (このIDを非表示/違反報告)
＊ルーラー＊ - 迷惑になってしまったらごめんなさい。本当に、もう、泣きそうです。相良くんがヤバイです。夢主ちゃんもヤバイです。本当に泣きそうです、ありがとうございます((( (2018年12月13日 17時) (レス) id: 38581538ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
