喧嘩ができないスケバンちゃん。６！【今日から俺は！】

第３５話！ ページ40

15分も早く着いてしまった...。

とりあえず小さめのコーヒーゼリーを頼み、口に運んでおく。

こんなに緊張で味がしないコーヒーゼリーは初めて食べる気がする。

てかなんで緊張してるんだよ、私。智司さんに会うだけなのに。


コーヒーゼリーを食べ終わり、時計を見ると、もう待ち合わせの時間になっていた。

店員さんが器を片付けてくれると、いいタイミングで智司さんが来店してきた。

『智司、さん。』

立ち上がり、手を上げたのに気付いた智司さんは小走りでこちらに来た。

怪我は治ってはいたものの、まだ小さい傷はあったようだ。

片桐「...なんか、久々だな。」

『...はい、久々ですね。』

そんな初対面のようなたどたどしい挨拶を交わし、智司さんは私の前の席に座った。

片桐「な、なんか食うか？」


『あ、いや、私は大丈夫です。それよりも、本題に入りましょうか。』


私がそう言うと、途端に智司さんは黙り込んでしまった。

そして、独り言のように私に聞いてきた。

片桐「...相良、頭降ろされたんだろ。三橋が開久乗り込んで来て、倒されて。」

『...はい。』

そう言うと、智司さんは「そうか...。」と、煙草を吸い始めた。

喫煙席にして良かった。

片桐「...相良、止められたのか。」

『とりあえず、もう、何かするとは思えませんけど。』

ただ...と話を続けると、智司さんは興味津々な様子で話に食いついて来た。

片桐「なんか、言ってたか？」

『...そうじゃなくって、猛くん、もしかしたら、三橋さんに復讐する気じゃないかって。』

三橋さんにあんな面子の潰され方をして、猛くんが簡単に許すとは思えない。

私がそう言うと、智司さんは悲しそうに目を伏せ、「そうか。」とぽつりと呟いた。

そりゃ、悲しむよな。


...そんな思いを打破するように、智司さんに私自身の思いをぶちまける。

『...戻ってきてくださいよ。』


片桐「...は？」

『3人でゲームしましょうよ。お出掛けしましょうよ、いっぱい話しましょうよ。

智司さんがいないと...寂しいんですよ。』

そう言って、涙を堪える為にわざと思いっきり笑う。

笑い飛ばして、涙を止めようと頑張った。

だけど、堪えきれなかった分が、目から頬をつたってテーブルの上に落ちた。

片桐「...理由がなんであれ、俺が開久を裏切ったのは事実だ。もう、戻れねぇよ。」

それは、当たり前の事だったのかもしれない。


そんな自分がいるのが悔しくて、1000円を置いてその場から離れる事にした。

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