喧嘩ができないスケバンちゃん。６！【今日から俺は！】

第２４話！ ページ28

私の頭の中では、ぐるぐるとあの智司さんのセリフが回っている。

"相良を止めてくれ。”

どうやって止めていいのか。

なんなら、あんな酷いセリフを吐いてしまった時点で止めるのは難しくなってしまった。

どうしたものか。

そう考えていると、家のインターホンがピンポンと鳴った。

階段を駆け下り、ドアをガチャっと明ける。

そこには...


伊藤「...Aちゃん。」

『...伊藤さん。』


大怪我を負っていた、伊藤さんだった。


とりあえず立ち話もなんなので中に入れ、紅茶を出した。

『...猛くんの、いや、相良さんの件ですか。』

わざと言い直したのは、多分猛くんじゃ誰だか分からないからだ。

伊藤「...Aちゃん、大体は知ってんのか？」

『はい。でも、伊藤さんが開久の人達に集団で襲いかかったなんて事になったのか...』

私がそう言い終わると、伊藤さんはそれに被せるようにこう聞いてきた。

伊藤「それ、嘘なんだよ。」

...分かっていた。

分かっていたけど、なんで猛くんはそんな嘘まで付いてそんな事を...

伊藤「多分、相良は俺達が面子潰しちまったから許せねぇんだと思う。」

『...私も同じ意見です、嘘ついてまで智司さんにやらせるのはどうかと思いましたけど。』

私は気持ちを落ち着かせるために、自分のコップに入れた紅茶を一気に流し込む。

猛くんが智司さんを殴ったのには変わりない。

そんなの、私が知ってる猛くんではないから、少しだけ、いや、結構悲しくなった。


伊藤「さっき、相良が軟高に大勢で来た。」

それ、サラッと言うけど、随分大変なことだったんじゃないか。

『...怪我人は。』

伊藤「出てねぇけど、請求書を渡された。平和に暮らしてぇなら、300万円払えって言う。」

『さ、300万！？』

そんなお金何に使うんだろう。

良い気はしないけど、なんか目的があるのだろうか。


伊藤「...相良の彼女に言うのもどうかと思うけど、俺は相良だけはマジで許せねぇ。」

そう言った伊藤さんの目は、覚悟を決めた感じの目だった。

もう意見は曲げない、と宣言するような。

『...開久、攻め込むんですか。』

伊藤「...あぁ。Aちゃんだけには知っててほしくて。」

正直、伊藤さんが強い事は知っている。

だけど、開久の人達に大勢で来られたら、大怪我どころではないのも事実だ。

だけど、伊藤さんのその目を見て、わたしはこういうしかなかった。

『...お気を付けて。』

多分、また後悔する事になるだろうけど。

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