喧嘩ができないスケバンちゃん。６！【今日から俺は！】

第１９話！ ページ23

倒れてるのは、智司さんだった。

なんで智司さんがこんなにボロボロに...。

傷に響かないくらいの優しい力で、肩を揺する。

すると、ゆっくり目を開けて、こちらを睨むように見てきた。

片桐「...誰、だ。」

『智司さん。私です。鳴滝Aです。』

私が自己紹介をすると、智司さんは私に気付いたらしく、起き上がろうとする。

だけど、ひどい傷だったので、ぐたっと膝から崩れ落ちてしまった。


『無理しないでください。とりあえず、開久の倉庫行きま』

そんな私の言葉を遮るように、智司さんは私の腕をガッと掴んだ。

片桐「あそこには、もう、行けねぇ。」

『どうし...』

いや、余計な口を挟まない方がいい。

私はあの時からカバンの中に常備している、消毒液と包帯を出す。

片桐「...悪ぃな、鳴滝。」

『困った時はお互い様です。傷が深くなるんで、謝らないでください。』

私はそれだけ言って、智司さんの傷を手当する。

こんな時に、猛くんと一緒に手当の勉強していて良かったと思った。


『とりあえず包帯だけ巻きましたけど、深い傷だったので病院に。』

私がそう言うと、また智司さんは立ち上がろうとして膝から崩れ落ちた。

頑張って支えようとしたけど、私の力では智司さんは支えきれずに、座らせてしまった。

『...1年生にやられたんですか？』

片桐「...ちげぇ。」

『でも、開久の後輩さんは、みんな智司さんと猛くんに着いて行ってます。』

...猛くん。

そうだ、猛くんを呼ばなきゃ。

『猛くん呼んできます。智司さんはそこで待っててくださ』

私がそう言って走り出そうとしても、また腕をガッと掴まれ静止させられてしまう。

片桐「...相良だよ。」

『え、なにがですか？』


片桐「...相良にやられた。」


...え？

思わず私は聞き返した。

私の知ってる猛くんは、智司さんに暴力を振るうような人ではない。

『嘘です。だって、ちょっと前まで一緒にゲームしてて』

片桐「最初は伊藤とタイマン張ったんだ。」

なんで、伊藤さん...

片桐「...相良が来て、伊藤に手出すなって、こいつは俺とタイマン張ったんだ。って言ったら。」

猛くん...。

片桐「...って事で、俺は開久の番長じゃねぇ。新しい番長は、相良だ。」

『...嫌です。開久の番長は、智司さんにしか』


片桐「...最後に、鳴滝に一つだけ頼みがある。」

『...なんですか。』

そう言い、智司さんは大きな手を私の肩にぽんと乗せてこう言った。



片桐「...相良を止めてくれ。」

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