喧嘩ができないスケバンちゃん。６！【今日から俺は！】

第１０話！ ページ13

『...上着てよ。』

相良「智司の服でけぇんだもん。」

『...でも猛くんのどこ見ていいか分からなくなるよ。』

相良「顔だけ見てろよ、てか他にどこ見るんだよ。」

『お腹、割れてんなーって。』

相良「見てんじゃねぇよ、えっち。」


片桐「見せつけてんじゃねぇよ、えっち。」


そう言って智司さんは、猛くんの頭をペットボトルでペシっと叩く。

それでも楽しそうに私をいじってくる猛くんは、なんだか憎めないんだよな。

そんな所が好きで、羨ましいんだけど。

片桐「せっかく貸してやってんだから上着ろや。」

相良「嫌だね、智司の服でかすぎて手が出ねぇんだもん。」

そう言って私の方に腕を突き出してくる。

猛くんの腕は、智司さんの服で覆われて、大きめの洋服から指だけが出ている状態だった。

これはこれで可愛いな。

『まくろっか？』

相良「うん。」

片桐「俺がまくってやるよ。」

そう言って智司さんは猛くんの袖を、思いっきり自分の方に引っ張った。

相良「いてぇいてぇいてぇいてぇ！」

片桐「人前でイチャつくお前らが悪い。やるなら俺の部屋貸してやるからそっち行け。」

智司さんがそう言うと、猛くんは私の事を、お姫様抱っこというやつで持ち上げた。

『え、なに。本当に行くの？』

相良「...駄目か？」

そんな目で見つめられると、NOと言えなくなってしまう。

相良「じゃあイチャついてくるわ。」

片桐「寝るんじゃねぇぞ。」

相良「わぁってるって。」

寝るって。


猛くんは、私を智司さんのベッドに降ろす。

そして座らせた。

相良「A、まくって。」

『分かった。』

私は猛くんの袖を掴んで、優しくまくる。

まくりづらかったので、猛くんの後ろに行き、背中に手を回すような形になった。

相良「...いい匂い。」

『え、そう？』

猛くんは、私に向き直って抱き締めてくれた。

そして首元に顔を埋めて、犬のようにすんすん、と匂いを嗅いでくる。

物凄く、くすぐったかったので、『恥ずかしいよ。』と言ったけど

相良「なんでAって、こんないい匂いすんだろうな。」

そう言って辞めてはくれなかった。

すんすん、と匂いを嗅がれると、なんだか変な気分になってしまう。


猛くんが愛おしくて愛おしくて仕方ない。


私は猛くんの首に手を回して、優しくキスをした。

そんな猛くんは、少しキスをしたら離して、またキス...という意地悪なキスをしてきた。


本当に憎めない人。



片桐「...結局寝てんじゃねぇか。」

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