【ツイステ】でかけよ、オンボロ寮(仮)

223.キミが私にくれたもの ページ23

『こんなこと思うの、本当は違うんだろうけど

怒るくらい本当に考えてくれてるんだなぁって思って

ちょっと嬉しかったんだ』




ユウ「…」



『…でも、私はやっぱり笑ってるユウくんが好きだから

だから危ないことしないよ

ユウくんの方がずっとしっかりしてて、ダメだねぇこれじゃあ




…ご飯作ってくるね。好きな時に食べていいから』




そう言ってベッドから立ち上がろうとしたその時だった








ﾊﾞｻｯ





『えっ』


グリム「ぶなっ！？」




力強く腕を引かれて私はバランスを崩してベッドに倒れこむ
視界が真っ白に染まったと思うと、後ろから回った手が胸下をぎゅっと力強く抱きしめた


(？、！？)


それがユウくんの被っていた布団の中と理解するのに少し時間がかかった
背中から伝わる彼の体温が移ったかのように触れたところから体にブワッと熱が広がる
耳にかかる吐息で彼の顔がどれほど近いかがわかった
互いの心音が聞こえるほど体が密着し足も挟まれ、体制を把握した途端ひどく顔が熱い



『っ、ゆ、ゆうく』





ユウ「…逃げないで。変なことしないから、






だから、もう少し



...



このままでいさせてください」



『…う、ん』


囁かれた声はこれまたか細く、腕に込める力はより強まった
ただ抱きしめる腕が少し震えていたような気がして

私は目を瞑って彼の腕に手を重ねた

ユウ「…」


『…あのね、ユウくん』

ユウ「はい」


『私ね、真ん中なんだ』


ユウ「…はい？」

『７つ上にお兄ちゃんと、弟いるの。双子の』

ユウ「…それは、初めて聞きました」

『うん。私も、さっき思い出した』

ユウ「え？」

『…小さい時はね、いつも弟と一緒にいたんだぁ。弟お客さんにして、歌うのがお気に入りで
お姉ちゃんお姉ちゃんって言ってたけど弟の方が全然しっかりしてたし

…髪もね、弟に言われたんだ。伸ばしたら似合うよって

それが嬉しくて、…まぁ、それだけの理由だったんだけど


家族のこととか、ここに来てから考えることなくて


…でもそれって、ユウくんがいてくれたからなんだねぇ』


寂しい、なんてここに来て思ったことはない

そんな言葉を考える時間もないほど満たされていて

何気ない毎日が送れていたのは紛れもなく
ユウくんが私に、オンボロ寮(ここ)に居場所をくれたからだったんだ





ユウ「…こっち、向いてください」

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