【ツイステ】でかけよ、オンボロ寮(仮)

219.不器用コンフォート ページ19

『…楽しいですか、それ』

レオナ「楽しかねぇよ。可哀想な誰かさんを慰めてやってんだ
有り難く思え」

『……果てしなく図々しいな』ﾎﾞｿｯ



何が慰めなのでしょうか
いつもとの違いが全くわからない、と言うかそんなものない。多分同じだ。


(…何を知ってるっつーんだか)


ここにきて見たのは、食事してるのと寝てる姿だけ
思わせぶりな言葉もどうせハッタリ見たいなものだと間には受けなかった



(…匂い、いつもよりする)


ここが彼の部屋でベッドの上だから濃く感じるのか、
それともブランケットに包まれているから？

回数を重ねるうちにどうもこれが鼻に馴染んでしまったらしい
大変不本意ではあるのだが、いつの間にか落ち着く匂いへと変わっていたのだ

それこそ初対面の時は背中の毛が立つくらいピリついたのに、今は上等な布にすっぽりと包まれたような感覚を覚える
いや、実際布に包まれてるから気のせいかもしれない



(どのみちこんなこと死んでも言わんが)




レオナ「お前、自分がどんなザマか分かって言ってんのか？」

『…は？どんなってなにが……？』



要領を得ない言葉に、瞬きをすると目から何かが零れ落ちた
宙に浮かせた掌に雫がぼたぼたと落ちては流れていく



(…








泣いて…？)





落ち着いているとは言ったが、思った以上に心が開けてしまったのだろうか
それとも気が抜けたのか

ただただ混乱するばかりだ
何かが壊れてしまったんだろうか、私は手の甲で瞼を強く擦った



レオナ「擦んな、腫れる」



顔覆うようにしていた両手を掴まれ涙は再び落ちていく、私は彼の顔を睨み付けた

完全に苛めっ子のそれだ

こう言う時のレオナ・キングスカラーと言う男は最早尊敬できる域で生き生きする

そして、自分の意思と反して溢れるこれは一体何なんだろう

鼻腔のあたりに圧迫感を感じて、せめてもの抵抗にと声が漏れないように唇を噛み締める
涙で揺れる視界に映った彼の表情は先ほどと変わっていて、偉そうな顔で口角も上がっている
彼は指で涙をすくい取るたび、優しい手つきで頰をゆっくりと撫でた



(……こんな時でも綺麗な顔しやがって)







『……泣いたって


…泣いて解決できないことなんて、たくさんあるでしょ』



レオナ「ハッ、そんな顔でよく言えたもんだな」


『…腹立つ』


レオナ「口の悪ぃ女だ」

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