【ツイステ】でかけよ、オンボロ寮(仮)

212.お夜食コンサテイション ページ12

(…怒らせてしまった)


あの後、あの三人組は指定暴力寮オクタヴィネルに引きずられていった
すでに若干２名は虫の息だったか知ったこっちゃない

ジェイドさんには落ち着くまで寮に来るかと誘われたけど、正直心が休まる気がしないので気持ちだけで
今は出口に向かうことなく校舎の中をとぼとぼ歩いている


帰ったところで、いつも通りなんて都合のいいことはないわけで


行く先が定まることもなく、自分の爪先を見つめては一歩また一歩と歩みを眺めている


これが夢であれば、と考えるが手持ち無沙汰になった手で髪を梳くたびにこれは現実なんだと思い知らせれる


虚しい


さっきまでは溢れる様に目から流れた涙が、今は一滴も出てこない
落ち着いたのか、自分に呆れているのか何なのか

どうも空回りしている様な、そのもどかしさの行き場もどこにもない




『…あ』




ラギー「あれ、珍しいッスねぇ。居残り勉強でもしてたんスか？」

『…ラギー、さん』



薄暗い廊下の向こうから姿を現したのは、食器を乗せたトレーを持ったラギーさんだった
食欲を沸かせる香ばしい香りが廊下に立ち込めた、出来立ての料理なのだろう


『…ラギーさんは、お夜食ですか？』

ラギー「そッスよ〜。…えっ、その髪どうしたんスか！？イメチェンにしては思い切ったっスねぇ…」

『…あぁ、まぁ、失敗したと言うか』


ラギー「…いや、失敗したって言うわりには、ところどころ長いッスけど」

『…あはは』

ラギー「…ふーん。…今から寮に戻るんスか？鏡舎まで一緒に行きます？」


『…いきます』


(...よかった。何も聞いてこない)

偶然だけれども、会ったのがこの人でよかった

きっと今の私は誰が見ても明るくは見えない
彼の目にどう映っているかは分からないけど、余計な詮索をしてこないのは彼のいいところだと思う


(まぁ、興味ないか巻き込まれたくないが前提だろうけど)


連れられる様に校舎を出て、私たちは普段と変わらない様な会話を交わしていた


ラギー「そうだ。ねぇ、これ」


『？』

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