【ツイステ】でかけよ、オンボロ寮(仮)

211.急募、陸の女子の慰め方 ページ11

ユウ「…っ！！」


震える唇から発した消えてしまいそうなか細い声に、彼は顔を上げた

再び合わせたその目の中に怒りの色はない
何かから覚めたように私の顔を捉えて落ちるように肩から手を離す


『ユウ、く』


ユウ「…俺、先に帰ります」


彼は目を逸らして立ち上がり、その場を後にしようとする


『え。…っ、待っ』




(い゛…ｯ…)



立とうと力を入れた足首に激痛が走る
よりによってのタイミング、先日の捻挫がどうやらさっきの着地で悪化したらしい
その後もズキズキと痛みを訴える足首を睨むが歯を食いしばるのが精一杯だ


ユウ「……ッ」


『あ…っ』



彼は私の前から逃げるように走って姿を消してしまった
呼び止めるくらいできたのに、遠のく背中を見つめることしかできなかったのは何故なのだろう



『…』




(…ユウくん、泣きそうな顔してた)





ジェイド「あぁ、これは可哀想に」


『…ジェイドさん』

ジェイド「お怪我はありませんか？」


小さく頷くと彼は背中を優しく撫でてくれた
私の顔を覗いたと思うと、その後に周りに散る髪の束を撫でる




(…髪)





ー悪戯をされたくなければ気をつけることだなー





(…いた、ずら)




ﾌﾞﾜｯ




ジェイド「！」

フロイド「うっわ、焦げくせ！」



ペンを握って魔法を唱えると、髪が小さな火柱を立てて一瞬で黒焦げになり灰になった
蝋燭が燃えた後にも似た、渋った異臭が辺りに立ち込める


ジェイド「ど、どうしたんですか？」





『…ユウくんに、嫌われた』



言葉にすると現状をより突きつけられ、視界がぐらつく

髪なんてどうでもいい
心臓が潰される様に苦しいのはそんなことのせいじゃない

足も痛い、心が苦しい

けど、ユウくんはもっと苦しくて


あんなに優しい子が泣きそうで、それだけ傷ついて、それで




(…そんな顔をさせたのは、私だ)



目頭が熱くなって乾いた地面にポタポタと静かに粒が落ちる
声は出なかったはずのに枯れた様に喉が痛い
彼に伸ばすことができなかった指を、反対の手で押しつぶす様に握り閉めた



ジェイド「…落ち着いて。そんなことはありませんよ」

フロイド「クマノミちゃんコイツらのどこ欲しい〜？
髪の毛？目ん玉？…あ、歯とかぁ？」



『いらないぃ…！！！』



フロイド「げ、うるさくなった。どうにかしてよジェイド」

ジェイド「これは困りましたね…どうしましょうか。アズール」



アズール「…いや、僕に振らないで頂けますか」

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