【ゲーム実況者】浅き夢見じ酔いもせず【短編集】

あさぢふの　小野の篠原　忍ぶれど　あまりてなどか　人の恋しき／湯毛／椿　リクエスト ページ7

「もしもしA」

「湯毛ぽ……？」

「おん、なあ今から家行っていいか？」

「いい……………」ブツッ

「Aー！？！？！？！！？！？？」




あさぢふの 小野の篠原 忍ぶれど




スーパーでゼリーやら何やらを色々買ってからAの家に行く。

Aに何が起こったか。考えられることはふたつ。


純粋に風邪をひいた。

どうせまた深夜ゲーしてぶっ倒れた。




Aの家に着く。

チャイムを押そうとしてはっとした。


具合悪いならわざわざここまで来るのは辛いんじゃないか……！？

そういえば俺、Aから合鍵もらっとるやん。




「A、入るぞ。お邪魔します」




合鍵で家に入る。リビングに入ってみる。

ゲーム機器は一切出ていない。


ということは、普通に風邪ひいたのか。




「Aー」




次は寝室に行く。

入るとAはびくっとして、きょろきょろと周りを見回した。




「湯毛ぽ、なんで」

「いや電話中倒れられたらそら来るやろ」

「そうじゃなくて、鍵」

「合鍵。深夜ゲーしたときに助けてって渡されたやつ」




ああ、とAは頷き布団の中に潜る。




「家にないと思って冷えピタ買ってきた。貼るぞ」




そう言ってもAは布団の中から出てこない。

相当具合が悪いのか？


俺は布団を剥がそうとする。が、一切動かない。


あ、こいつ具合悪くないわ。いや力強すぎやろ。




「A？」

「やめてやめてまじでやめて。メイクしてないから」

「今更そんなん気にせんわ。そこまで変わらんからええやろ」

「よくない」




はあ？この一大事に何を言ってるんだか。

ていうかほんと力強いなこいつ！！！




「だーかーら、大丈夫だっつの！！」

「大丈夫じゃない！！病人をいじめるな！」

「じゃあ看病させろや！！顔出せ！！」

「っ……なんでわからないかなあ！」




ふっとAの力が緩む。俺はその隙に布団を剥がす。

Aは顔を赤くして、泣きそうな顔をしていた。




「好きな人の前で、かわいくいたいだけじゃん」




そう言うとAは泣き出してしまう。

俺はどうすることもできず、ただそこに座っていた。


好きな、人？俺が？


数分するとAはそのまま寝てしまった。

俺は布団を戻し、冷えピタを貼ってメモを残し家を出た。




「俺も、熱が出たかもしれんな……」




あまりてなどか 人の恋しき







￣￣
全く看病をしていないというね。


リクエストありがとうございます！！

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