【ゲーム実況者】浅き夢見じ酔いもせず【短編集】

浅き夢みじ酔いもせず／MSSP ページ50

“好きなことをして生きていく”


なんて、そんなの無理に決まってる。

わかってる。わかってはいるんだけど。




有為の奥山今日越えて




ゲーム実況がしたかったわけじゃない。

もともと、音楽活動がしたかった。




「お前がFB？なあなあ俺と一緒にバンドやらねえー？」

「は……？」




と言いつつ、そう簡単に有名になれるわけはなくて。

ゲーム実況は宣伝のために始めたようなものだった。




「FBって案外ゲームうまいんだなー！！」

「……っお前が下手なだけだろ！」




それから、新しい仲間が増えて。




「なあなあ！マルチプレイしたいから一緒にゲームしよ！」

「一切喋らなくていいからっ」

「まあ、FBが言うなら」

「あろまがやるならいいけど」




MSSPっていうチーム名が決まって。




「チーム名ぃ？」

「厨二病とかでいいんじゃない？」

「えおえお適当だね！？」

「あ、じゃあさあじゃあさあ……」




ファンができて。




「あの、っFB777さんですよね！？」

「え、あ、まあ、はい」

「ファンですっ！！すみません、握手いいですか！？」




CDを売ったりなんかして。




「これはライブ開催も近いな。な、FB！」

「あはは、それはまだまだだろ！」




ライブを開催して。




「やっば……ほんとにライブやんの？」

「緊張なんかしてねえ緊張なんかしてねえ緊張なんかしてねえ」

「いやあろまめちゃくちゃ緊張してるよね」

「FBお前それキーボードじゃなくてダンボールだぞ」




YouTubeにも動画をあげて。




「すぽーんっ！！」




いつの間にか10年も経ってた。




「そう考えると俺ら超やばくないー！？」

「10年も馬鹿やってるもんな」

「馬鹿って！！あろまひどーい！！ね、えおえおっ」

「はいはい」




本当に、夢みたいで。



“好きなことをして生きていく”


無理だと罵られて。それでも仲間と信じてきたこの道が。

こんなにも続くだなんて。こんなにも幸せだなんて。




「きっくん、えおえお、あろま」




これからも、迷い多く悲しい奥山を越えて行こう。




「ありがとう。これからも、ずっとよろしく」




人生の儚い栄華に酔わないように。




「あったりまえじゃん！！」

「うわ、どしたの突然」

「雨でも降るんじゃね？」




浅き夢みじ酔いもせず








￣￣
かききれなかったリクエストは続編でかきます。

今まで見てくれた方ありがとうございますー！！

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