【ゲーム実況者】浅き夢見じ酔いもせず【短編集】

春過ぎて　夏来にけらし　白妙の　衣干すてふ　天の香具山／せらみかる／コア　リクエスト ページ49

Aを雇ってから、もう3ヶ月が過ぎた。




春過ぎて 夏来にけらし 白妙の




僕らの関係は全く変わっていない。



朝になればAがきて、昼は遊んだり家事をしてくれたり。

夜は夜ご飯を作って、そして、きちんと帰る。


僕もちゃんとお金を払う。




そうしているうちに、夏が来てしまった。




Aは今日も今日とて家にやってきて、仕事をする。

もう「縛って」なんていうこともなければゲームをすることもない。




(なんか、思ってたのと)




「違うな……」

「えっ？」




Aが驚いて、パタパタとキッチンから走ってくる。




「お、美味しくなかった！？」

「あ、いやご飯は美味しいんだけど、そうじゃなくてさ」

「そうじゃ、なくて？」

「なんか納得いかないんだよね」




やっぱりご飯が！？とAは肩を落とす。



まるで僕がAに仕事を与えて。

あくまでも雇主と雇われている側だと、一線を引かれているようで。


そんなの、納得いくわけないじゃないか。




「もっと、普通のAでいてよ」




箸を置いて、Aの腕を掴む。

Aは驚いて珍しく「ん、んん！？」と情けない声を出す。




「もっと一緒にゲームしたいし、仕事だって思って欲しくない」

「で、でも」

「ちゃんとお金は払うから！もっと普段のAでいてほしいっていうか」

「……っ！！」




僕はじっとAを見つめる。

Aはしばらく黙っていたけど、観念したように目をそらした。




「わかったよぉ……」

「ほんと！？」

「でも、それじゃあまるであたし彼女みたいじゃん……」

「へっ！？」

「勘違いしちゃうじゃんっ！！みかるくんのばか！！」




と僕の腕を振り払って急いでキッチンに戻っていくA。

そんなAの耳は真っ赤に染まっている。


彼女って……そんな……。



“ 僕はMだから、Sじゃないけど。

別にかなたが心配だとかそういうんじゃないけど。”




「っ……！！」




あれ？もしかして、僕ってAのこと……。




「じゃ、じゃあ彼女になる！？」

「…………はあっ！？！」




衣干すてふ 天の香具山






￣￣
なんか……なんか微妙だね……。

こういうお互いが赤面しちゃうやつほんっとに萌える。


リクエストありがとうございます！！！！！！

浅き夢みじ酔いもせず／MSSP→←百敷や　古き軒端の　しのぶにも　なほ余りある　昔なりけり／牛沢／幻奏音芽　リクエスト

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す