【ゲーム実況者】浅き夢見じ酔いもせず【短編集】

かくとだに　えやは伊吹の　さしも草　さしも知らじな　燃ゆる思ひを／せらみかる／コア　リクエスト ページ32

「ご主人様っ！どうぞこれで縛ってくださいっ！」

「いや、僕ご主人様じゃないから……」




かくとだに えやは伊吹の さしも草




使い古されたロープを僕に渡してくるA。

Aの目はきらきらと輝いている。いや……えっ？




「ご主人様っていう方がムードでるかなと思ったんだけど」

「ムード出さなくていいからっ。ていうか僕Sじゃないからね！？」

「あたしだってSじゃないけど」




Aとは小学校からの付き合いがある。



小学校の頃はガキ大将に消しゴムを奪われたのに喜んだり。

中学校の頃は女子に意地悪されて喜んだり。


まあ、とにかくAは昔からマゾっ気があった。



今もマゾだなんて思ってなかったけどね。

同窓会で会ったときの一言が「縛って！」だったもんなあ。




「掃除とかしてもらってるから何も言えないけどさあ」

「うん？」

「なんで毎日家に来るの？」




同窓会から二週間ほど経つ。

あの日からAは毎日僕の家に通っている。泊まった事はない。




「そりゃあ縛ってもらいたいもん」

「なんで僕？」

「同窓会のときのあの縛り……忘れられないなあ」




Aをマゾだと思ってなかった僕はあの日Aを縛った。

言われた通りにきつく、きつく。


僕の馬鹿。あの時縛らなかったら……！！



とはならず、Aは家事を代わりにしてくれる。


ご飯も美味しいし、料理もうまい。

だから僕も無下にはできないし、ていうか感謝してる。




「ふうん……仕事はしてないの？」

「うん、私家政婦してたからさ」

「ああ、だから家事うまいんだ」




A特製ハンバーグをつまみながら言う。

Aも向かい合って同じハンバーグを食べ、にこっと笑う。




「家事して、縛ったり罵ってもらってお給料もらうの」

「はっ！？」

「そうやって稼いでたんだよねえ。一石二鳥！」




ぶいっとピースサインをするA。

いやそれって結構危ないしヤバいんじゃ……？




「でもそろそろ働かないとなあ。新しいご主人様見つけないと」

「え……」




僕はMだから、Sじゃないけど。

別にAが心配だとかそういうんじゃないけど。




「ま、待ってよ……っ」

「ん？」

「僕がAのこと雇うから。だから……」




うまく、言えないけど。




「家にいてよ」




さしも知らじな 燃ゆる思ひを




おまけ

「みかるくん縛ってくれるの！？」

「縛らないよっっ！」






￣￣
遅くなりましたー！！

こんなんでいいんですかね！？


リクエストありがとうございます！！！！

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