スキだから。【九条天】【２】 (ページ5)

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5章.Tragedy.40.【追憶編Part1】ページ5

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ここから追憶編となります。

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星雫side

ずっと、誰かに愛されたかった。

何をしても平凡で特になんの取り柄もなかった。

だけど、たったひとつだけ得意といえるものがあった。

それは、ダンス。

何となく幼い頃から習っていて、いつの間にかみんなの目を引くものとなっていた。

だけど、それでも、月雫には追いつけなかった。

周りも、月雫が天才ということを認めていた。

逆に、私は、双子なのになんでそんなに劣ってるの？と言われることも多くなっていた。

だけど、月雫はそんなことを気にせず私に日葵と一緒にアイドルにならないかと言ってきた。

私は元々、日葵とそこまで仲が良かったわけじゃない。

月雫と同じように天才と謳われていたから何となく避けていた。

日葵が太陽なら、月雫は月。

私は何者にもなれない。

ならばせめて、太陽と月を支える小さな星になろうと思った。

月雫と日葵が第一の救世主だった。

もうひとりの救世主は陸。

昔から天より何となく話しやすくて、陸と話していることが多かった。

入退院を繰り返す陸のお見舞いに行くのが、いつの日かの習慣になっていた。

そんなとき、楽しくもない私の話を一生懸命、楽しそうに聞いてるのを見て、少し、嬉しいと思った。

私に空いていたナニカを埋めてくれた。

今からすると、それが、陸を好きになった理由だと思ってる。