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備前近景の消失 ページ21

何時間経ったのだろうか。
暗闇に目が慣れ近くにあった埃をかぶった鏡を
みつめる。

「もう私は備前近景ではない。」

額に生えた角、顔半分に入ったヒビ、
禍々しい姿に笑いかける。
体を蝕んでいく痛みすら今は心地良い。

「これで良かったんだ。私は幸せになっては
いけない。逆賊の刀らしい最後じゃない。」

『本当にそう思ってる?』

突然声をかけられ備前は焦って振り返った。
そこには誰もいなかった。

『こっちだよ。』

声がする方を向くと鏡の中に女がいた。
女は優しい微笑みを備前に向ける。

『本当にこれで良かったのかな?』

「良いに決まってる。私は早く光秀達と」

『何を恐れているの?幸せになることを
何故拒むの?』

「…そんなことないよ。」

『嘘だね。自分を偽るのはやめなさいよ。
君は幸せに浸って光秀達のことを忘れて
しまうことを恐れている。』

女は指を指して笑う。

「違うよ。」

『いや、違わないね。』

「何を根拠に…!お前に私の何が分かるんだ!」

ドンッ。鏡を殴る。ピシピシとヒビが入る。
それでも女は備前を指差したまま笑う。

『そうやって悲劇のヒロインぶるの止めな。
振り回されるこっちの身にもなりなよ。』

「何言って」

『今更怖じ気づいて逃げ出すの?』

「うるさい!!」

ガシャァン!鏡がわれる。備前の手はもはや
異形のものに成り果てていた。
肩で息をするとうずくまり鏡の欠片を見る。

「じゃあどうしろってんだよ。」

風貌に合わないすすり泣きが響く。
砕け散った欠片のそれぞれに鬼が映る。
そこに優しい笑顔の備前はいない。

「もう、遅いんだよ。何もかも。」

そう自分に言い聞かせる。

「早く出よう。私はここに相応しくない。」

ゆっくりと立ち上がり歩き出す。

(誰も私を傷つけない場所へ。)









石切丸「…まずいね。」

小狐丸「どうした。」

石切丸「備前の気配が完全に消えた。
ここ(本丸)にはもういない。」

加州「そんな…!」

次郎「まぁ、そう慌てなさんな。
ここ(本丸)に備前がいなくなっただけ。」

太郎「私達でも気配を捜索してみますが
せめて足跡だけでも分かれば…。」

鳴狐「それならば私めが探してみせましょう!」

鳴狐「…嗅覚で探す。」

五虎退「僕の虎さん達も!」

獅子王「鵺だって負けてねぇぜ!」

「皆…!よし、必ず備前をみつけようね!」

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ロト(プロフ) - たぬきねこさん» ありがとうございます!ダラダラとですが更新頑張っていきます! (2018年3月10日 16時) (レス) id: b951fa5b4a (このIDを非表示/違反報告)
たぬきねこ - グルメ番組かよで不覚にも笑った頑張って下さい! (2018年3月10日 16時) (レス) id: a2c5151ef6 (このIDを非表示/違反報告)
ロト(プロフ) - ニガウリさん» ありがとうございます!ゆるゆる更新頑張っていきたいと思います。 (2018年2月11日 10時) (レス) id: b951fa5b4a (このIDを非表示/違反報告)
ニガウリ(プロフ) - 私も、明智さん好きだから、この作品大好きです!!更新頑張って下さい(*ゝω・*)ノ (2018年2月11日 10時) (レス) id: da81750a6d (このIDを非表示/違反報告)
ロト(プロフ) - 黒狐コハクさん» 読んで下さっただけでなくコメントまで…ありがとうございます! (2018年1月9日 19時) (レス) id: b951fa5b4a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ロト | 作成日時:2017年12月25日 13時

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