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私は意を決して話す。
「分かったよ。行くよ…
でも私本当に梅原さんって人知らないよ?いいの?」
知らない人の葬式に行くって小さい頃は許されてたけど、
大人になった今は許されない気がする。
「いいのいいの。
大きくなった貴方が行くことに意味があるんだから!
きっと柚音さんだって貴方の顔みたいだろうし」
「そういう事じゃなくって…他にも人くるでしょ?」
「葬式で初めて会う人と普通あんま喋んないのよ。
葬儀が終わった後すぐ帰れば誰も気にしないわ」
確かに…。初めて会う人にはあんま喋んないか。
「本当にありがとね。
何かお詫びするから欲しい物とかあったら何か言ってね、
何でもするから」
何でも…ね。
なら旅行チケットでも買ってもらおう。ハワイとか高くてあんま行けない海外の場所にしよう。
いや、なんなら最近よく並ぶと有名なあのお店の高級プリンでもいいかも。期間限定だし。
「はいはい__「あ、今いい?」
って店長!?
きゅ、急に現れないでください」
び、びっくりした。
会話に一区切りがついて時間を見ようとして周りを見たら
店長が真顔で隣に座っていた。
思わずスマホを落としかけた。
「人増えてきたから逃げてきた」
「はぁ!?
__ごめんお義母さん詳しい事は後で連絡してね」
そう言って電話を切り、
ポケットに突っ込んで店長と一緒にラッシュという名の戦場に向かう。
涙目の店長に呆れつつ、話しかける。
「あの、バイトの子達に任せすぎないでくださいよ。
店長が頼りないって知ったらきっとすぐ逃げちゃいますよ。
バイトの子たち居なくなったらどうするんですか?
またツーマンセルとか絶対に嫌ですからね」
団体の予約が入った時の絶望はもう味わいたくない。
店番2人だけですけど大丈夫ですか?って言ってもだいたいその方が良いとかいって予約入れてくるし。
しかもこの店長無駄に顔が広いから茶化しも含めて常連さんいっぱい来るし、
本当、私がいなかったらどうするんだよって感じ。
「みーんないい子だから大丈夫よ!」
ウインクをして言う店長。
まあ、それはそうだけど。
……この人絶対彼女に甘えすぎて捨てられる系の人だろうな。
「この前の時よりアンタが明るくなってよかった!」
「??いきなりなんですか?」
いや、適度に褒めて依存させる系の人だこれ。
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作者名:(▽)chocolate_tea | 作成日時:2023年9月2日 18時