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「ふぅ、ごめんね。
危うく全世界の男をなぎ倒す所だった。
そうだよね。
そもそもアンタに男との出会いなんかあるわけなかったよね。彼氏なんか作れないよね。
ごめんね」
私に殴られた頬が痛いのかさすりさすりしながら申し訳なさそうな顔をする店長さん。
そこに少し怒りが湧く。
「分かってくれたんだったら嬉しいんですけどなんか物凄い腹立つ。もう一回殴り飛ばしてやりたい」
そもそも私の拳はあなた仕立てなんですけど。
絶対避けれたよねアナタ。
分かってて避けなかったよね。
Mなの?Mなのか?
店長さんはひとつ咳払いをして話を切替える。
「……で、なんだったっけ。
あ、そうそう。
元々あった物が無くなっちゃったって言ってたよね?」
「えぇ、まぁ。みんな知ってたのに忘れちゃったてきな…」
店長さんは顎に手を当てふーむと考え込む。
「俺には、
忘れたことには何か意味があるんじゃないかって思う」
大きなトラックが近くを通ったのか、空気が震えた。
「意味、ですか?」
私の問いに店長さんは二パッと笑って頷く。
そしてそのまま顎を押えていた手を私の頭の上にポンっと乗せた。
「そうそう!
アンタしか覚えていない事なんでしょ?
つまり!
アンタしか覚えていないってことは、それってきっと覚えているアンタにしか出来ないことがあるっていう意味だと思うの。
だから自分がしたいって思ったことは我慢せずにして、
悔いのないように過ごすことが大切よ」
悔いのないように?
「って痛」
「その為には、そのボーッとするくせ何とかしなさい!
お客さんに心配させてどうすんの?」
うぅぅ、デコピンされた。
「酷いです…」
「お愛顧でしょ。
さっき俺アンタのストレートパンチ喰らったんだから。
なに?それとも、グーパンの方が良かった?」
「止めてください死んでしまいます」
あの時は私を励まそうとして店長は言っているんだなと思ってた。
あのままおそ松さんのことは忘れて、
そのまま自由気ままに過ごしていくんだろうなって。
それがまさか。
「おねえさんの、とこ?」
「おれ、おねえさんの家にすみたい…」
「ぼくもいいの?」
「ねぇ、オレたちをたすけてよ」
「おねがい!ボクの兄さんをたすけて!!」
「ぼくをひとりにしないで…」
まさかこんなことになるなんてね。
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作者名:(▽)chocolate_tea | 作成日時:2023年9月2日 18時