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「アンタここ数日ずぅっとぼーとしてるけど大丈夫?」
「…店長さん」

お客さんが居なくなって、用意されている賄いをカウンター席で食べていると店長さんが隣に座って話しかけてきた。

「まあ仕事に支障ないんだったら別にいいけど」


店長さんは私にとって兄みたいな人だ。

親がいなくなって途方にくれていた私を助けてくれたし、
大学に行く気すら起き無かった私に働き場をくれたとっても優しい人。

ちょっとオネェみもあるので姉っぽいのかもしれない。


言葉にはできないけど、どことなく安心感を抱いた私は
思わずポツリと声に出した。




「…なんか、疲れちゃったなぁって」


バイトの人たちもいなくなり、
二人しかいない空間でその小さな声はよく響いた。


「えっ!!?もしかして、病んだ?」



違う!!
先程よりも大きな声を出して否定する。

「いやいや、違います!
そんな重いもんじゃない!
いや、重いかもだけど!

でも病んではいない!

__生きる気力はあります!!」


口を抑えて驚愕し、
スマホを取り出す店長さんを慌てて止める。

やばい。
義両親呼ばれたら私本当にどこぞの六つ子みたいにニート生活送ることになっちゃう!!

あの人たち私に甘いんだから!

店長さんは不満そうな顔を持ちつつスマホをしまう。
「まあアンタがそうなることはよくある事だから何も無いのならいいんだけど」

いいんかい。てかよくあるんかい私。



「でも何か悩み事はあるんでしょ?
そうやってボーッとしてるってことは」

店長さんは机に肘を置いて手を顎に乗せ、優しそうな眼でこちらを見た。

私は店長さんから目を逸らしながら言う。
決して顔が良かったからという訳では無い。

決して!!違う!


「まぁ、あるっちゃあるけど」

「でしょ?でしょ?ならお兄さんに話してみんさい。
力になるよ?変な客居たら出禁にしてやるし。

何かマズイことがあってもお兄さんがちゃーんと守ったげるからね」

うわぁ強い。
この人喧嘩強いから洒落になんないんだよね。

柔道やってたって言ってたし。
なんなら私も教わってたから。


「…引かないでくださいよ?」
私の言葉に店長さんは笑顔で頷いた。

▽→←【第一章:おそ松さんが無くなった】



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作者名:(▽)chocolate_tea | 作成日時:2023年9月2日 18時

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