【第一章:おそ松さんが無くなった】 ページ1
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「おそ松さんが、消えた?」
私は最近働き始めたばっかりの元花のJk。
社会人になった記念に義両親の元から旅立ち、血縁者の両親が遺した無駄に広い一軒家で悠々自適と暮らしていた。
突然だけど、私はおそ松さんが好きだ。
誰が特段好きとかは無いのでつまるところ箱推しである。
おそ松さんとは
赤塚不二夫先生が手がけたおそ松くんの10年後のお話。
やんちゃで誰が誰か分かりづらかった六つ子達が10年の月日を得て成長し、それぞれ個性を尖らせていった。
でも皆ニートになった。
クズでニートで、二十歳過ぎても就職できない親のスネかじり野郎になってしまった。
現実に居たら発狂物で、
実の息子だったらSAN値が直送しているがアレは二次元。
二次元だからこそ許させるあの物語は本当に素晴らしい作品。
二次創作もかなり充実していた。
派生松と言う原作おそ松さんとは違う要素が加わり、
それのおかげで私の懐は寒くなっていくばかりだった。
もう終わっちゃったけど、
本当にへそウォって神だったんだなぁ。
__だが、私は絶望した。
その日はいつも通りに6時に起きた。
隣にはパジャマ姿の六つ子のぬいぐるみがあったはずだった。だって朝日から逃げるためによく顔を突っ込むから。
あった、はずだったんだけど
…無かった。
朝ごはんを食べながら、スマホを弄って支部やらなんやらでおそ松さんの二次創作を探す。
いつもはこうして、英気を養っているはずだった。
……無かった。
棒笑顔動画も漁ってよく見ていた卓動画を探した。
………無かった。
そこからもうほとんど察した。
けど、勘違いだと思い込ませ部屋中探し回った。
コスプレ用の部屋にあったはずの松の服やウィッグ、
派生末の時によく使うカラコンは無くなっており、
ウィッグ掛けてたマネキンさえ無かった。
松の本が溜まっている部屋にも行った。
もぬけの殻で塵ひとつ無かった。
松のぬいぐるみを貯めに貯めた部屋は空っぽ。
支部の百科にもたくさん載っていたはずだったのに
そこには何も存在していなかった。
慌てて松クラの友達に連絡した。
「おそ松さん?なにそれ?新しいアニメ?」
その言葉は、私の胸に深く突き刺さった。
そして同時に理解した。
おそ松さんは無くなったことに。
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作者名:(▽)chocolate_tea | 作成日時:2023年9月2日 18時