3年A組の、闇へようこそ 4幕

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『……ううん、どこも、行かないよ』




咄嗟に腕を取ってしまったけれど、そのAの表情がどこか切羽詰まった表情だったから。

どこか腑に落ちないような表情で頷いて元の席に戻ったA。



前の方では電脳部の堀部と西崎が画像の解析を始めていた。




甲斐｢……あっち、行かねぇのかよ｣

『うん』




聞いているのかいないのか曖昧な返事をするAに違和感を覚える。




甲斐｢……そう言えばさ｣

『ん？』




座ったままのAと、Aの右隣に立ったままの俺だと身長差はかなりあるわけで。

真上を見るように見上げたAを見下ろして問う。




甲斐｢進路とか、どうすんの？｣




何となく今まで聞けなかったことを聞いてみようと思った。




『隼人と結婚でしょ？』

甲斐｢……あぁ、うん、まぁそうなんだけど…ほら、Aの夢とか……さ。そういうの聞いたこと無かったなーって。聞いたことあったっちゃあったけどいつもはぐらかされてただろ？｣




どうなんだよ。って聞いたらんー、って考えて天を仰いだ。




『私の将来の夢は、大好きな人と結婚して、旦那さんに似てる子供がいっぱいいて、おじいちゃんおばあちゃんになっても2人で手を繋いで歩けるような、そんな将来が夢だよ』

甲斐｢……A、｣

『でも、強いて言うなら……ネイルとか、そういう系の仕事にも就いてみたかったかなぁ』




知らなかった。









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