3年A組の、闇へようこそ 4幕

____ ページ14

.







タンっというスマホの画面をタッチする音が聞こえた直後、武智の声が聞こえてきた。




“ 景山澪奈のフェイク動画、ありがとね。ほら、ドーピングのやつ。これでもう彼女の選手生命は終わりだね ”




それを流し終えて元の場所にしまったかと思ったら武智が笑った。




武智“えっと…それは、なに、かな？”

柊“あなたの電話を盗聴したんですよ。……だいぶ前に”

武智“っ、盗聴は犯罪だぞ？！法的になんの証拠にもならない、それに！！！！そんなものはデタラメだ！！！”




怒鳴るの、辞めてくれないかな？

耳がキーンって痛いんだわ。


チラリと前を見ればまだフェイク動画の解析をしてるみんな。




柊“あなたは、景山澪奈に豪翔大学のスポーツ推薦の話を持ちかけましたよね？”

武智“それがどうした？俺は彼女の才能を高く評価した。だから、より良い環境を与えようとしただけだ。”

柊“でも彼女はその誘いを断った。”

武智“他に行きたい大学があったんだろ？”

柊“違いますよ！！……あなたと、豪翔大学の深い関係を知っていたからです。”





前に聞かれたことがある。




景山｢ねぇ、Aちゃんは大学とか行くの？｣

『んーん、私は就職か結婚かなー』

景山｢そっか、ならいいんだけど｣

『なんかあった？』

景山｢ううん、もし、武智先生に何か誘われたら私に話してね？｣

『……うん、分かった』




そう、夜に電話が来てよく意味が分からなかったけど頷いたことがあった。

結局私は武智に声かけられることも無く、その話は忘れたんだけども。


今になって考えてみればちゃんと深く聞けばよかったっていう自分の愚かさに絶望する。




柊“見返りの報酬は、かなりの額だったんでしょうね？あなたは景山澪奈を豪翔大学に入学させることを条件に、多額の報酬を貰うはずだった。”




違いますか？そう言った先生に明らか動揺する武智の声。






.

____→←____

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す