15：貴方 ページ45
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またこうしてアアル村での生活が再開されてから数日。以前よりも彩られたような、数年前の記憶を夢に見る。
ガンダルヴァー村へ向かう中で、簡易的なテントを設置し夜を超えた日があった。あの時はまだ凄惨な光景が目に焼き付いていたからか、酷い悪夢を見た。
そんな私を安心させるかのように、優しく肩を叩く彼。依然変わらない無表情だが、それが心地良かった。
「──起きろ」
そのような彼の像に、セノさんの姿が重なる。
もうセノさんが私の部屋に上がって来ることに何の違和感も抱かなくなった。というか寧ろ、変に意識してしまって高鳴る胸に狼狽するしかない。
「約束、ですよね」
「ああ。外で待ってる」
セノさんが僅かに微笑んだ気がして、直後いやいやと首を振る。流石に自惚れすぎでは。それでも足掻くようにまた、お気に入りの服を身につけるのだが。
私の一歩前を歩いてくれる、その背が好きだ。マハマトラの長にしては華奢だが、頼もしく骨骨しい。何より時折こちらを振り返っては、私を気にしてくれる。
( ──好きって言ったら。 )
絶対に困らせるだろうな、などと考えていると、セノさんはランバド酒場の扉を軽々と開けた。そして「腹ごしらえにしよう」と、私を先に店内へ入れてくれるのだ。
やたらと店長のランバドさんが、ランバドフィッシュロールを勧めてくるので、それを二つとセノさんが注文を入れてくださった。数分後、湯気を立ててそれが運ばれてくる。
「前に、学者という夢があると言っていたな」
「はい」
「以前まで素論派の学者をしていた先輩がいるんだが、Aの話をしたところ一度是非会ってみたいとのことだ」
セノさん曰く、数々の論文を発表してきた優秀な方でありながら、いくつもの異国を渡り歩いた方らしい。私はセノさんの提案に頷きながらも、ここまで温情を掛けてくれることに感謝をした。
そして手を合わせた後に店を出ると、一つ思い出したことがあった。
「セノさん、今回の一連の事件を報告をしに行きますか？」
「………」
「私、待ってます」
そもそもの目的はその報告であった。前と同じベンチに向かおうと足先の向きを変えると、それを阻まれる。
「心遣いには感謝するが……まだAと行きたい場所があるんだ」
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咲原(プロフ) - まるさん» 読んでくださり光栄です。。！ありがとうございます(˶' ᵕ ' ˶)！ (8月13日 12時) (
レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
まる - 最高でした！！お疲れ様です！ (8月13日 6時) (レス) @page48 id: 626fa9ab7b (このIDを非表示/違反報告)
咲原(プロフ) - あいうさん» ご覧頂きありがとうございます！元ゲームの雰囲気を壊さずに慎重に書いていましたのでそう言っていただき光栄です……！自分らしく執筆を頑張りますね！ (2023年2月21日 16時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
あいう - セノの小説あまり無かったのでめっちゃ嬉しいです！話しも自然ですごいです。めっちゃ好きです。自分のペースで更新頑張って下さい！応援してます！！ (2023年2月20日 1時) (レス) id: 914ffe60d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲原 | 作成日時：2023年1月19日 12時
