14：レジェンドプレイヤー ページ42
.
( ……セノさん。 )
こちらへ振り返ると両肩を強く掴み、「何もされていないか？」と確認するので一先ず必死に頷いた。
まさかまた会えるなんて思っていなくて、何から言葉に出していけばいいのか分からない。混乱する頭の中で、セノさんがふと思い付いたように私を見た。
「俺と七星召喚をプレイしないか？」
「………え？」
また目が合って二秒、対戦を申し込まれてしまった。近くの切り株にデッキを広げる。
初めて対決したのはもう何ヶ月前のことであろうか。あの頃の惨敗が本当に悔しくて、私は密かに練習を続けていた。ガンダルヴァー村の皆を巻き込んで練習漬けの一日を過ごしたこともあった。
「準備は出来たか？」
「…はい」
「よし、始めようか」
彼が手を広げた。勝負は幕を開けた。
アクションカードを駆使して、短期決戦を仕掛ける。白鷺の姫君に武器カードを装備し、セノさんの大マハマトラを攻撃する。賽を振り、互いに一進一退の攻防が繰り広げられる。
「…負けました」
勝負の行方は、セノさんの残った最後のキャラによる攻撃で惜しくも敗れてしまった。あの一手をこうしておけば、と反省会のしがいがある名勝負であった。
「腕を上げたな」
「次はセノさんに勝ちたいと思っていたので…」
負けてしまいましたが、と自嘲すると、「少し驚いた」とセノさんはカードをしまいつつ言う。
「お前とここまで接戦ができるとは想定していなかった」
「あ…ありがとうございます…」
「…少し会わない間にまた壁が出来たな」
少々不安げな様子でぼやくから、無意識のうちに強ばっていた肩を解き、「そんなことありません！」と弁解の姿勢をとる。
「もう二度とセノさんには会えないかと思っていたので…こう、どうすればいいのかあまり分からず……」
「どうすればいいも何も、お前のしたいことをすればいいし、言いたいことを言えばいい」
セノさんは知る由もないだろう。私がセノさんに、特別な感情を抱き始めていることに。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
咲原(プロフ) - まるさん» 読んでくださり光栄です。。！ありがとうございます(˶' ᵕ ' ˶)！ (8月13日 12時) (
レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
まる - 最高でした！！お疲れ様です！ (8月13日 6時) (レス) @page48 id: 626fa9ab7b (このIDを非表示/違反報告)
咲原(プロフ) - あいうさん» ご覧頂きありがとうございます！元ゲームの雰囲気を壊さずに慎重に書いていましたのでそう言っていただき光栄です……！自分らしく執筆を頑張りますね！ (2023年2月21日 16時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
あいう - セノの小説あまり無かったのでめっちゃ嬉しいです！話しも自然ですごいです。めっちゃ好きです。自分のペースで更新頑張って下さい！応援してます！！ (2023年2月20日 1時) (レス) id: 914ffe60d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：咲原 | 作成日時：2023年1月19日 12時
