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璃月を過ぎると、湿度の高い森林という懐かしい光景が私たちを包んだ。
未だ布を被っている中で、微かに見える視界では彼が三歩ほど前を歩いている。
「この先は足場が悪いから気を付けろ」
雨で濡れた土壌、生え広がる苔、転がる樹木。
彼に忠告を受けてもなお、慣れた道だから大丈夫だろうと高を括っていた。少し盛り上がった岩場に引っかかり、転んでしまう。
「大丈夫か？」
ところであった。既のところで、彼に受け止められた。
存外近い距離に、瞬間的に熱くなった顔に違和感を覚えながらも、支えられて立ち上がる。再び歩き出そうとする彼が振り返り、左手を差し出した。
「…手を」
「………」
「握れば、危なくないだろう」
それまであまり表情の変化がなく、硬い顔をしていた彼が微かに口角を上げて微笑んでくれたので、躊躇の末にその手を握ったのだった。
ごつごつと骨ばっていて、職業柄なのかいくつものマメが出来ているのが分かった。
┈┈┈┈┈
暫く歩くと、大木が聳え立つ村が見えてきて、彼曰くガンダルヴァー村というところらしい。彼の知り合いがいて、私を預ける予定だとも言っていた。
村民の方に事情を説明すると、そそくさと奥の方へ消えていき、少し経てば獣耳を生やした青年がこちらへ歩いて来る。
「よろしく頼んだ」
「ああ、任せて」
二人は旧知の仲のようで、多くを語らずとも互いの意図が分かるといった雰囲気は、往年の父と父の親友の姿を彷彿とさせた。
複雑な気持ちを隠すことに徹していると、彼の知り合いが人の良さそうな顔を浮かべてこちらを向く。
「はじめまして。アビディアの森所属のレンジャー長、ティナリだ。これからよろしくね」
「………」
会釈をすると花が咲いたように微笑んで、「まずは腹ごしらえでもしようか」と手を引かれた。振り返ると、もう彼はいなかった。
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咲原(プロフ) - まるさん» 読んでくださり光栄です。。！ありがとうございます(˶' ᵕ ' ˶)！ (8月13日 12時) (
レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
まる - 最高でした！！お疲れ様です！ (8月13日 6時) (レス) @page48 id: 626fa9ab7b (このIDを非表示/違反報告)
咲原(プロフ) - あいうさん» ご覧頂きありがとうございます！元ゲームの雰囲気を壊さずに慎重に書いていましたのでそう言っていただき光栄です……！自分らしく執筆を頑張りますね！ (2023年2月21日 16時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
あいう - セノの小説あまり無かったのでめっちゃ嬉しいです！話しも自然ですごいです。めっちゃ好きです。自分のペースで更新頑張って下さい！応援してます！！ (2023年2月20日 1時) (レス) id: 914ffe60d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲原 | 作成日時：2023年1月19日 12時
