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外に出ると、まるで祭事が開催されているかのように村は賑わっており、いつもより多くの人が行き交っていた。階段脇や屋台の柱には綺麗な花が咲き誇っており、これは恐らくサバーフさんが飾ったなとか思っていると。
「──アシパキさん?」
「あれ、Aじゃないか!久しぶりだな!」
ニカッと快活に笑った彼はアシパキさんと言って、レンジャーの中でも料理の腕が高いと知られている方だ。私がレンジャーにいた頃に何度も料理を振る舞ってもらい、且つ私に料理の作り方を教えて下さったのである。
「お前が元気そうで何よりだ!」
「アシパキさんも、ご無事でよかったです」
アシパキさんは、逃げる私の背を守ってくれた方で、特に安否を心配していた方だった。彼の無事に胸を撫で下ろしながらも、何の料理を提供しているのかと疑問に思う。
「今日は初心に帰って、ピタを作ってるんだ!ルッカデヴァータダケ入りで一食なんと五千モラだぜ、買ってくか?」
「久しぶりにピタ食べたいです!キャンディスとセノさんは……?」
「私も食べたいです」
「俺も貰おう、二人の分も俺が払う」
遠慮したのだがそれでも払うとのことだったので、また一つ貸しができてしまったと反省しつつ。
「アシパキさん、ガンダルヴァー村の皆さんはご無事でしょうか?」
「ああ、怪我を負った奴も結構いたが、全員無事だよ」
アシパキさんの言葉にまた一つ安堵を覚える。
「セノさんも久しぶりだな」
「ああ」
何気なく挨拶を交わす二人。何なら共通の話題すらあるそうで、二人で話し込み始めてしまった。
( セノさん、ガンダルヴァー村に知り合いがいたんだ……。)
私がガンダルヴァー村にいた数年間は一度も彼に会わなかったため、予定が合わなかったのかすれ違いが起きていたのか。
存外近い存在だったのかと少々驚いた。
「レンジャー長が伝えたいことがあると言っていたから近々村へ来てほしいんだ」
「ああ、分かった」
「セノさん、レンジャー長とお知り合いなんですか……?」
零れた質問にアシパキさんが「何を今更」と笑う。どうやらセノさんとレンジャー長であるティナリさんは旧知の仲らしく、交流が続いているようで。
( 全然知らなかった……。 )
それなら一度くらい、既に会っていてもおかしくはないはずなのだが。
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咲原(プロフ) - まるさん» 読んでくださり光栄です。。!ありがとうございます(˶' ᵕ ' ˶)! (8月13日 12時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
まる - 最高でした!!お疲れ様です! (8月13日 6時) (レス) @page48 id: 626fa9ab7b (このIDを非表示/違反報告)
咲原(プロフ) - あいうさん» ご覧頂きありがとうございます!元ゲームの雰囲気を壊さずに慎重に書いていましたのでそう言っていただき光栄です……!自分らしく執筆を頑張りますね! (2023年2月21日 16時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
あいう - セノの小説あまり無かったのでめっちゃ嬉しいです!話しも自然ですごいです。めっちゃ好きです。自分のペースで更新頑張って下さい!応援してます!! (2023年2月20日 1時) (レス) id: 914ffe60d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲原 | 作成日時:2023年1月19日 12時